農場の風

オランダだより ‐第19便‐ 2014年8月18日

パッケージセンターの例 今回訪問したGreenPack


RIMATOの外観


RIMATOの栽培の様子


RIMATOの前で記念写真


Tomato world


Delftの街並み




オランダだより

 いつも誠和製品をご利用頂き、誠にありがとうございます。豊橋営業所の三宅です。

 暑い中の作業が厳しい季節になりましたが、皆様の体調はいかがでしょうか? 熱中症などには是非とも気をつけて仕事をして頂ければと思います。

 今回は7月13日~19日の期間で行われました、弊社主催の「オランダ最新トマト生産技術視察ツアー」についてお伝えしたいと思います。

 今回の参加者は、生産者様8名 取引業者様6名 誠和社員8名の計22名でした。オランダ滞在は5日間で、その間にトマト生産者や栽培試験施設、システムメーカーや種苗会社など多岐に渡って訪問しました。今回はその中で特に印象に残った訪問先を2件ご紹介したいと思います。

 さて実際の訪問先をご紹介する前に、オランダの気候、施設園芸の背景についてご紹介します。オランダの国土面積は41,000km2程で九州と同じくらいです。施設栽培面積は10,540haで意外な事に九州の施設栽培面積(13,427ha)よりも少なく、生産者件数にいたっては九州の20%程度です。

 日射量に関しては6月には2000J/cm2/日と、日本と同程度まで上がりますが、12月には200J/cm2/日を下回るまで下がります。これは関東地方の同時期と比較すると約4分の1程度のエネルギー量です。トマトの定植は12月中下旬定植の周年栽培です。これは年間の日射量にあわせて栽培を行うためです。また、冬の日射は上記の通り非常に少ないですが、梅雨が無く、6月の日射量が多いのも特徴です。

 トマトの単価に関しては、冬場で\100/kg 夏場で\30/kgと日本に比べ非常に安くなっています。理由としては現在オランダでは市場が存在しません。生産者の多くはスーパーとの直接契約を結び販売をしていますので価格が上がりにくくなっているそうです。オランダのトマトの90%はスーパーへ出荷されているそうです。その対策として生産者は、まずは収量と品質を向上させる努力をしています。次に生産物は、集荷、選果、パッケージを行うパッケージセンターにて、箱詰めや店頭にそのまま陳列できるパッケージなどにして付加価値を出して販売しています。このようにオランダのトマト生産と販売は、日本と比較して決して好条件な環境とは言えない事がわかります。

 では、なぜオランダでは日本の2倍以上の収量を上げ、さらに年々向上しているのか?そのヒントのいくつかを今回のツアーで知る事ができました。

RIMATO

 1987年から兄弟でトマト栽培を経営している生産者です。まず訪問した際に感じたことは生産ハウスというよりも企業に訪問した感覚です。これはオランダの生産者の多くで感じる事ですが、それぞれがしっかりとした企業としての体制を持っているのを感じます。

 ハウス内部を見る前にRIMATOの代表者より概要の説明をいただきました。RIMATOはProminentという出荷組合に属しています。Prominentは25人で構成している組合で、栽培面積は合計で250haとなります。

 栽培面積は14.6haで、現在生産しているハウスの土地は先祖代々の土地ではなく、1984年に代表者の兄がトマト経営をするにあたり拠点を移したそうです。このように経営を考えた際に、土地の事情などで拠点を移す事は、オランダでは珍しい事ではないそうです。ここも日本の施設栽培との違いを感じました。以前に建てたハウスはどうするの?と思う方もいるでしょう。そこはまた日本と大きく違います。オランダのハウスは平均20年で建て替えを行う事が多くあり、耐久性もおよそ20年だそうです。何故でしょう?

 オランダでは20年の間に栽培技術が大きく変わっており、ハウス自体が対応できないと考えられています。代表的な例を挙げれば軒高です。現在オランダの新設ハウスでは軒高6~7mが普通です。栽培技術が研究されるにあたり、軒高が高いほうがより良い栽培環境を創りだせるとの結論から年々軒高が高くなっているとのことです。つまり、栽培面を考えた場合に、ハウスを一定期間で立て替えたほうがより収量を上げられると判断ができるという事です。最近のトマト生産者では10年ぐらいで建て替える人もいるそうです。

 日本のハウスでは台風等の事情もあり、耐久性、強度に優れたハウスが多くあります。しかし、日本の栽培技術、環境制御技術もここ数年めまぐるしく変化しています。ハウスも構造から見直す必要があるのかもしれません。

 話を戻します。RIMATOでは2棟のハウスで栽培を行っていて、品種は房取りトマトのMerliceです。オランダでは収量向上等の理由から約2年で品種を変えることが多いそうですが、RIMATOではこの品種と相性が良いそうで4年ほど栽培しています。台木はMaxifortで、オランダでは根の活力が強いと評価されている主力の台木です。

 潅水に関しては雨水を積極的に利用し、栽培に使用する水の90%程は雨水利用とのことです。そのための貯水タンクも設備されていました。補光ランプはありません。

 定植本数は1.9本/m2で、2月頃には側枝伸長にて3.8本/m2にするそうです。3月頃から収穫が始まり、昨年は70kg/m2の収量だったそうです。これは1週間に2.7kg/ m2トマトを収穫している計算になります。収量に関しては年々増加しており、昨年は69kg、一昨年は68kgと1年で約1kg/m2収量を伸ばしているそうです。

 収量を伸ばしているポイントの一つにコンサルタントの存在が上げられるかと思います。オランダで栽培する生産者のほとんどは各種コンサルタントと契約しています。RIMATOでも栽培(2名)、財務(1名)、肥料(1名)、エネルギー(1名)の各分野で計5人のコンサルタントと契約しており、栽培コンサルタントとは週1回打合せを行っています。それぞれの分野でコンサルタントからの情報収集や提案、意見交換が出来る事は重要と考えられているようです。

 その他、天然ガス利用のガスエンジンや畝毎の収量や従業員毎の労働時間を把握するための労務管理システム(端末に情報を入力し、コンピュータで集中管理)など合理的な経営体制が垣間見えました。

 視察中、様々な質問がありましたが、全ての質問に的確に答えている様子を見て、現状把握、目標、方針が明確だという印象でした。今やるべき事や今後のステップなどを見定めてそこに向かって進んでいくことが収量を向上させ、売上を増加させ続けていく大きな要因であると思います。

Tomato World

 Tomato Worldは生産者6社で設立された財団法人で、オランダの施設園芸のトマトがどのように栽培されているかを見ることのできる施設です。様々な企業が協賛しており、ロックウールのGrodanや弊社も扱っているマキシマイザーのPriva、日本からはサカタのタネも協賛しています。施設の中では基本的なトマトについて非常に幅広く紹介されています。 その目的はトマトの生産技術向上と国内での施設園芸の存在価値を上げる事のようです。

 紹介は主に動画で行われ、トマトの生育や、種子、エネルギー供給などについて各施設内エリアにて紹介されていました。ここで栽培されているトマトの試食コーナーもあり、色々なトマトを試食する事ができました。試食した率直な感想は日本で食べるトマトと遜色ない、非常においしいトマトでした。私自身7年前にオランダを訪問した際、ある生産者のトマトを食べた事がありましたが、あまりおいしい印象はありませんでした。しかし、今回の視察で食べたトマトで印象はガラッと変わりました。

 また施設内には試験農場もあり、天敵昆虫や品種、環境制御装置など様々な取組みがなされていました。ここで得た結果をフィードバックし、教育、知識交換としているようです。昨年、オランダのトマト輸出量がメキシコを抜いて世界一になりました。それは生産性もさることながら、このような取組みが下支えになっていると感じました。

おわりに

 今回の視察で最も印象に残っているのは、ある方が言った「栽培はシンプルに論理的に考えろ」という一言でした。もちろんオランダの生産者の多くは制御にコンピュータを使用していますので、一見複雑な考えの下に制御をしているように見えます。しかし、考え自体はシンプルでそれに伴う論理的(妥当性が高く、誰もが納得する)に必要な事を当てはめるためにコンピュータを使用していると感じました。

 施設園芸には様々な設備があり、特に日本では栽培方法、システムも多種多様です。しかしオランダの視察した生産者は皆、同じような設備を使用し、給液量や葉面積指数の考え方もほぼ同じでした。これはシンプルで論理的な栽培を選択し続けた結果、皆が同じ考えを共有できたのではないかと感じました。

 私どもも施設園芸機器メーカーとして、生産者様の収量、品質向上に対しシンプルで論理的な商品、サービス提供を行って行きたいと思います。

追伸:今回のツアーに参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。このツアーを皆様の今後に、少しでもお役立ていただけたら幸いです。今後ともよろしくお願いたします。

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