農場の風

オランダだより -第15便- 2008年12月18日

Heuvelink先生(中央)と参加者のみなさんで記念写真


Heuvelink先生に質問するSさん


Heuvelink先生編著のTomates。 私のお薦めの本です。







オランダWageningen大学 Ep Heuvelink先生来社

11月25日に、オランダWageningen(ワーヘニンゲン)大学准教授のEp Heuvelink先生(エペ ヒューベリンク)が来社して、オランダの施設園芸についての講演をしてくれました(注:オランダ語の発音は特に‘G’と’V’が難しく、カタカナの表記は参考までとしてください)。先生の来社が決まったときに、社内のある方に「今度Wageningen大学の先生が誠和にいらっしゃって講演をしてくれる」と話をしたら、「それは、美空ひばりが誠和に来て歌を歌ってくれるようなものだ」と言っていました(年齢がばれるような表現ですね)。確かに、施設園芸分野では世界的に有名な、Wageningen大学の先生が誠和に来て講演していただけるなんて滅多にないことです。 今回の経緯はと言うと、今年の6月にカナダのケベックにて開催されたISHS(国際園芸学会)のGreensys2009に私が参加したことに遡ります。学会でのパーティーで、近くにいらしたHeuvelink先生と話をさせていただいたことがきっかけでした。先生は、11月につくば市で開催されたISHSのLight in Horticulture(光と園芸)のために来日するとの事でしたので、ぜひ誠和に来て講演してもらえないかとお願いしてみました。すると、誠和とつくば市はどのくらいの距離かと聞かれたので、2時間以内と答えたら即OKでした。今考えれば、Heuvelink先生は見も知らぬ私のお願いをよくも聞いてくれたものです

講演内容

講演会当日は、Heuvelink先生と千葉大学の池田英男先生にも来社していただきました。オランダと日本を代表する研究者が講演してくれる貴重な機会ですので、社員だけではなく、栃木県内を中心とした生産者、販売店、JA、試験場の方などにも声をかけて参加していただきました。総勢80名ぐらいの参加者となりました。 Heuvelink先生は、ハウス作物の生態生理学が専門です。今回は、オランダのトマト栽培において1980年から2009年の間にどのようにして収量を2倍(30 kg/m2から60kg/m2)にしたのか、その要因を話してもらいました。 先生の話の中での要因は次の通りです。 〔ハウス構造〕  光線透過率の向上:天井ガラスの大型化、骨材の減少、ハウス骨材への白色塗装 光線透過率は、1980年には65%だったものが現在は78%になり13%向上。約20%の収量増加を実現。 〔栽培技術〕  ハイワイヤー栽培(長期間栽培の実現)、接ぎ木栽培(樹勢維持)、 〔品種の改良〕  収量構成要素、光合成能力 〔ハウス内環境制御技術〕  温度、炭酸ガス、湿度、補光 〔最新技術の開発〕  半閉鎖型ハウスSemi-Closed Greenhouse、樹間補光Interlighting、散乱光 Heuvelink先生は、同様に重要なこととして更に次の2つを挙げていました。 〔生産者への高い教育水準〕 〔温暖な気候〕  冬はそれほど寒くなく、夏はそれほど暑くない 施設構造、栽培技術や環境制御技術については、日本でも今後の取り組みにより向上できると思います。私が一番重要に感じたことは、「生産者への高い教育水準」でした。これは新しい技術を生産者に教育することはもちろん、それを指導する(できる)人材がとても重要ということだと思います。もしかしたら日本での高収量栽培実現に向けて一番欠けていることはこれかもしれません。 池田先生からは、農林水産省の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」で取り組んでいる「Cの動態に注目した高生産性施設環境調節技術の開発」で得られた成果を講演していただきました。オランダでのトマトの高収量は、品種特性が大きく影響していると考えられ、日本とオランダ品種を光合成の面から色々と調査しています。オランダ品種は湿度(飽差)と炭酸ガス濃度が好適な条件下では、日本品種よりCO2吸収速度(光合成速度)が早くなり、これが積極的な環境制御により収量が向上する要因のひとつになっていることがわかってきました。また、先生はハウス内の環境制御の重要性を説明されました。更に、千葉大学にて計画されている植物工場実証・展示・研修事業拠点についての説明もしていただきました。 両先生の話は、参加者にとって明日からの栽培管理や研究開発をどのように取り組んで行ったら良いのかを考えさせられる内容だったのではないかと思います。

日本人と英語

日本人は、欧州の方と比べると「英語」、「外国人」はどうも苦手です。業務内容が、貿易等の英語中心の仕事ではない人でも、英語力はひとつの技術として大変重要なものです。私は現代において、英語力はパソコンと同じぐらい重要で、その技術力が仕事に深みと幅がでてくると思っています。Heuvelink先生、池田先生のそれぞれの講演後は十分な時間をとり、参加者の方から質問を受け付けました。どのくらい質問がでるのか心配だったのですが、結構活発に質問がでていました。Heuvelink先生への質問時に今年入社した当社のSさんが真っ先に手を上げ、それも英語で質問しだしたのには驚きました(写真2)。内容は担当業務であるスクリーンと湿度コントロールに関する質問でした。文面は用意していたようですが、彼の立派な質問に感心しました。彼にとっても良い経験になったことでしょう。

お薦めの一冊

Heuvelink先生が編著した「TOMATOES」と言う本がCABI Publishingから出版されています(写真3)。内容は、トマトの栽培方法、病害虫防除、育種、肥培管理等が広く記載されています。この本は、トマト栽培上の技術ポイントを記しているのではなく、科学的な知見から栽培方法や技術を解説した大変興味深い本です。我が国の、トマトの研究に携わっている方にはぜひ一度目を通してもらいたい本です。もちろん、生産者の方にもお薦めですが、残念ながらこの本は今のところ英語版のみです。すでにスペイン語版には翻訳されているそうなので、今後の日本語版の出版を期待したいところです。  Heuvelink先生には、また日本に来る機会がありましたらぜひ当社にも寄ってくださいとお願いしました。先生の答えは、「もちろんOK。なぜなら私の妻は日本人ですから」とのことでした。えっ、日本人なのですか!?詳しく聞いてみると、先生はオランダ在住の麻里子さんと近々ご結婚されるそうです。お幸せに。

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