農場の風

オランダだより -第16便- 2010年1月12日

8 月の果物屋の様子


ハウス内でのラズベリーのポット栽培。もちろん炭酸ガス施用をしている。


収穫開始期のイチゴとPhilip Lieten氏 


台車を利用したイチゴの収穫作業


イチゴ栽培ハウスの様子





オランダでのイチゴ

先日、過去のオランダだよりを見直していたら、イチゴに関する記載がほとんどないことに気付きました。イチゴにご興味ある方にはすみませんでした。オランダのイチゴ栽培も大変興味深いものがあるのでご紹介させてもらいたいと思います。 まず、日本で流通しているイチゴは、オランダイチゴ属で学名は、Fragaria×Ananassa Duchesneです。オランダイチゴは、18世紀にオランダで育種され、日本には、江戸時代の終わりにオランダから輸入されたそうです。ですから、オランダと日本のイチゴは関係深いものです。 オランダのイチゴ栽培は、水はけの良い砂地であるオランダ南部の都市Breda近郊のベルギーとの国境付近に集中しています。このあたりのイチゴ生産者に車で見学に行くと、ベルギーに入ったりオランダに入ったり国境を行き来します。国境と言っても、それを示す看板があるのは主要幹線道路だけで、通常は道路標識の色や形が変わることで国境を越えたことに気付きます。オランダ全土での栽培面積は、ガラスハウスでの栽培が約200ha、トンネル栽培(間口5-6mほどの日本で言うパイプハウス)と露地栽培の合計が1,500haです。オランダの野菜ガラスハウス面積が約4,500haですから、それに占めるイチゴの割合はわずか5%程度です。なお、ベルギーでのイチゴ栽培もほぼオランダと同じ面積で、栽培面積の60%がこの国境付近の町のMeerleに集中しています。参考までに、日本でのイチゴの栽培面積は約6,500ha、イチゴ生産量日本一の栃木県は647haです。国民一人あたりの生鮮イチゴの消費量は、オランダでは約0.5kgだそうです。日本は約1.4kg、韓国は約4kg、イギリスは約4kgです。これらのデータからもわかるように、オランダではイチゴはあまり重要な作物ではないように思われます。しかし、他の作物同様に単位面積あたりの収量は世界でもトップクラスで、ガラスハウスでの平均収量は約12kg/m2ほどで、最近は15kg/m2ほどの高収量を得ている生産者もいます。オランダでのイチゴ消費量が少ない理由のひとつとして、イチゴはベリー類のひとつと捉えられているためだと思います。写真1は、8月のオランダの青果物売り場での陳列の様子です。多くのスーパーでは、写真のようにイチゴとブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、グースベリーが並んで販売されています。あるイチゴ農家では、ラズベリーもハウスで栽培していました(写真2)。

ガラスハウスでのイチゴ栽培

オランダでのイチゴの作型は種類が大変多く、2月と3月を除いてほぼすべての時期でイチゴの出荷が可能となっています。イチゴの収穫ができない2月と3月は、スペイン南部のHuelva等から輸入されスーパーでは販売されていますが、これはあまり美味しくありません。 前記の通り、オランダではガラスハウスでのイチゴ栽培は主力の作型ではありません。しかし、他の作物同様に積極的な環境制御と設備投資により高収量と作業効率の改善を実現しています。ガラスハウスでのイチゴ栽培は、ほとんどがピートを培地にした養液栽培です。まずハウスに入って気付く日本との違いは、ガターの高さです。その高さは約1.3~1.5mと日本のものより高くなっています。この高さは、決してオランダ人の身長が高いからではありません。これは収穫時に、果実が目の高さかそれよりちょっと下になる高さです(写真3)。日本の高設栽培は、株が上から見渡せる程度の高さ(約1m)に設置されている場合が多いと思いますが、オランダのガターの高さでは葉身は頭より上になります。しかし、イチゴの栽培管理での作業のほとんどは収穫作業ですから、それを重視したらこの高さになったのだと思います。実際に収穫作業を少しやらせてもらいましたが、作業姿勢が非常に楽で、収穫適期の着色果実を探す動作が非常に少なくなり、作業効率が改善することに納得しました。その代わり定植や摘葉作業は、高下駄を履いて作業をしています。なお、写真3の方は、Philip Lieten氏です。欧州では有名なイチゴの研究者で、以前はベルギーの農業試験場に勤めていましたが、現在はオランダの民間企業に勤めています。日本にも何度か来たことがあり、親日的な方で何度かオランダとベルギーのイチゴ生産者を案内してもらいました。 収穫とパック詰め作業も非常に効率的で、収穫は温湯レール上を走る台車を押して作業をします(写真4)。収穫果実は、その場で秤に載せたパックにバラ詰めにしていきます。そのため、収穫スピードは30~35kg/時間と非常に早いです。品種は、ここ10年以上Elsantaが主体で、数年前に育種されたSonataが昨年あたりから広がっていますが、まだ10-20%程度です。ガターは、ハウス構造体のトラスから吊り下げられていますので、写真5の様にガター下は、非常にすっきりとしています。ガターの高さが高いため、畝間は作業者の肩から上が通るだけのスペースがあれば十分です。そのため、畝間は1mと狭くすることができ、ガター数を増やし栽植本数は約10,000株/10aとなります。写真6は、4月30日の10時45分頃のイチゴハウス内の写真です。注目すべき点は、畝間を狭くすることで床面に落ちている光が非常に少なくなっていることです。前号のオランダ便りでも記載したように、オランダでの高収量は、ハウスへの光透過率を高めてその光利用効率を向上させることが重要であるといいます。イチゴのような草丈の低い作物では、ハウス内に入ってくる光を限りなく床面に落とさず利用するかが重要になります。

 

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