農場の風

トマトパークだより-第16便-2017年11月24日

写真1 大玉トマト圃場様子


写真2 大玉トマトの果実の様子


写真3 ミニトマト圃場様子


写真4 ミニトマトの果実の様子


写真5 タバコカスミカメの成虫


写真6 タバコカスミカメの幼虫


グラフ1 前作のコナジラミの増減と防除


グラフ2 前作のコナジラミの増減と防除


大玉トマト -栽培室①-

【栽培ノート:2017年10月16日~2017年11月15日】

  品種:りんか409(株式会社 サカタのタネ)〈定植:8月17日〉

[生育状況(2017年11月15日現在)] (写真1,2)
  草丈:218.9 cm、葉数:13枚
開花花房段数:8段目、収穫花房段数:3段目
  誘引、わき芽取り、摘花、花房直上葉・下葉を摘葉、果梗取り

[作業]
  吊り降ろし、収穫

[病害虫防除]
  コナジラミ防除、うどんこ病防除

ミニトマト -栽培室③-

【栽培ノート:2017年10月16日~2017年11月15日】
  品種:CF千果(タキイ種苗 株式会社)〈定植:8月17日〉

[生育状況(2017年11月15日現在)] (写真3,4)
  草丈:384.7 cm、葉数:19枚
  開花花房段数:12段目、収穫花房段数:6段目

[作業]   誘引、わき芽取り、摘花、果梗取り、下葉取り、吊り降ろし、収穫

[病害虫防除]   コナジラミ防除、うどんこ病防除

『トマトパークでのIPMの取り組み』

  前月予告した通り、今回は栽培室4でのIPMの取り組みについてご紹介いたします。IPMは総合的病害虫管理(Integrated Pest Management:IPM)の略称で、耕種的・物理的・化学的・生物的防除といった手法を組み合わせにより実施し、病害虫を経済的被害が生じるレベル以下に抑制することを目的とする病害虫管理の手法です。
  この考えに基づき、今年は栽培室4において生物的防除資材を有効活用し、化学農薬の散布回数を削減する取り組みを行っています。その取り組みとは以下の3点です。
  1つ目はトマト黄化葉巻病の耐病性品種の採用による耕種的な対策です。トマト黄化葉巻病はタバココナジラミにより媒介されるウイルス病です。これによって成長や着花を強く抑制してトマト生産者に経済的被害を生じさせます。感染した株を治療する方法は発見されていませんので、拡大を防ぐためには感染株を直ちに取り除く必要があります。耐病性品種は感染しても被害を受けないため、媒介するタバココナジラミをある程度許容することができます。
  2つ目は黄色粘着板による害虫の物理的な捕獲と、その計測結果を受けて行う化学的防除です。IPMの悩みとして、病害虫が経済的被害を生じさせる水準に達する可能性があるかの判断が挙げられます。粘着板に捕獲された各害虫の数を元に化学的防除を行う必要があるかを判断しています。
  3つ目はタバコカスミカメといった生物的防除資材の活用です。前作に引き続きタバコカスミカメを利用しています。タバコカスミカメは雑食性のカメムシで、体のサイズは3mm程度です。成虫は羽を持ちトマトの株間を自由に移動することができます。一方で、幼虫は羽を持たないため隣接する株以外に移動をすることができません(写真5、6)。
    トマトパークではバンカー植物としてバーベナの‘タピアン’を利用し、前作では5月にタバコカスミカメを放飼した後、7月末の栽培終了まで‘タピアン’とトマトに対してタバコカスミカメの数を調査しました(写真7)。タバコカスミカメは放飼後、’タピアン‘でもトマトでも増加が確認されました(グラフ1)。
    タバコカスミカメを放飼した後は、殺虫剤の気門封鎖剤を1回散布するのみでコナジラミ類の増加を抑えることができました(グラフ2)。作の終了前はコナジラミ類が増加していますがトマトの摘芯後であり、経済的に被害がないと判断しました。
今作の初回放飼は1600匹(株当たり0.5匹)を9月20日に行い、1週ごとに合計3回放飼しました。バーベナ‘タピアン’は4月から11月が栽培適期とされており、前作で利用した春と比べ冬はバーベナ‘タピアン’の管理が難しくタバコカスミカメを維持する上では課題となります。また、タバコカスミカメも比較的高温を好む昆虫であるため、今作の調査としては冬のバーベナ‘タピアン’の管理方法の検討とタバコカスミカメの防除効果の評価を行っていきます。またタバコカスミカメと合わせて、積極的に他の生物資材も利用していきます。
    なお、タバコカスミカメは国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の日本典秀先生ご指導の下、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー)「次世代農林水産業創造技術」のプロジェクトの一環として実地試験を行っております。

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