農場の風

リサーチパーク鶴だより-第3便-

図1プロファインダークラウド


図2環境グラフ温度、飽差


図3環境グラフCO2濃度







プロファインダークラウドを活用した環境制御

 本年も残すところわずかとなりました。日射量は下がるものの、温度管理やCO₂施用の制御がしやすくなる季節になります。今回から全3回にわたり、環境制御のプランを立てることに役立つ、『プロファインダークラウド』をご紹介いたします。

 弊社は施設園芸業界では最も早くハウス内環境の「見える化」に取り組み、2011年よりプロファインダーの販売を開始いたしました。プロファインダーはハウス内の4つの環境因子(温度、湿度、CO₂濃度、日射量)の測定を行い、グラフなどで表示することにより、ハウス内環境の状態およびその変化を視覚的に理解することができる測定器およびソフトウェアです。今まで勘と経験に頼るしかなかった環境管理がデータに基づいて行えることで高い評価をいただき、これまでに4,800台を世に送り出してきました。しかし、従来、プロファインダー単体の場合、プロファインダーに接続したパソコン画面でしか、環境を見ることができませんでした。そこで、測定したハウス内の環境データが自動でクラウドにアップロードされ、いつでも・どこでも・気軽にハウス内環境をチェックできるサービスを開始いたしました。それが『プロファインダークラウド』です。プロファインダークラウドは、測定器であるプロファインダーと、クラウドにデータをアップロードする通信ボックスから成り、本体と通信ボックスをLANケーブルでつなぎ、電源をいれれば自動的にデータの収集が開始されます。クラウドサービスのため、インターネットへの接続により様々な端末(スマートフォン・タブレット・パソコン)からハウス内環境を見ることが可能です。また、環境グラフ、生育調査、成分分析、収量予測、需要予測のサービスを受けることができます。(図1)

まず、自分のハウスを見る!

 環境グラフを使って自分のハウス内の環境を見ていきます。「なかなかハウスに行けない夜中や明け方の温度はどう推移しているのか?」、「日が出てきてから温度はどう変わっているのか、温度の変化に合わせて湿度はどう推移しているのか?」、「体感することのできないCO₂濃度は一日を通してどう推移しているのか?」、「日がサンサンと降り注いでいるのに、CO₂濃度が低く、CO₂飢餓状態になっていないのか?」、などの状況がグラフや数値から簡単に、把握できます。 

 栽培管理は自分がハウスにいるときだけでなく、一日の流れの中で、ハウス内の環境が目標通りに管理できているのか確認し、環境設定を調整することが大切です。また、環境グラフを見ることで、状況がわかるだけでなく、様々な改善点も見えてきます。以下、2点活用例を紹介いたします。

 

『例1』

問題:最近ポツポツと灰色かび病がでてきた。環境グラフを見てみると夜間にカーテンを閉めているため暖房はほとんど動かず、夜中の飽差が1g/㎥前後で推移している。

改善:飽差が下がりすぎないようカーテンを全閉ではなく数cm透かし開け、湿った空気をカーテンの上に逃し除湿する。それでも飽差が上がらないようであればもう少しカーテンを透かし開けて時々暖房が入るようにし、さらに除湿する。

『例2』

問題:毎朝果実が結露して湿っている。そんな日は日差しが強く朝方しおれてしまう。環境グラフをみると夜は暖房で最低温度は確保されているが、日の出とともに温度、飽差が一気に上昇している。

改善:早朝の果実の結露や葉のしおれは、太陽からの熱で果実表面や葉が急に温められることにより起こる。例えば、暖房機に4段サーモなどがあれば、日の出前に2段階くらいで暖房温度を上げ、日の出前に果実や葉を温めておく。晴天日は早めに換気を少しだけ開けるなどして、急激に温度が上がり過ぎないようにする。 

 このような一日中ハウスの中にいないと、感じたり確認したりすることのできない状況を、寝る前やちょっと手が開いたときに気軽にタブレットなどで確認することができます。

お友達機能を活用する

 プロファインダークラウドは、「お友達機能」を持っています。事前に「お互いの栽培の状況などを確認し合いましょう」「お友達になりましょう」と申請すると、その相手の環境グラフなどを見ることができます。例として、同じ作物をつくる近所の生産者の方、全国的に有名な篤農家の方などと登録し合うと、お互いの問題点や改善点を共有できたり、生産性を上げるヒントが得られたりします。スタディクラブや部会などで活用していただくとより効果が高く、会全体の生産性向上に繋がります。お友達機能では相互の同意が無いと他のプロファインダークラウドユーザーのデータを見ることはできませんが、「公式ユーザー」のデータは誰でも友達申請無しで見ることができます。現在は公式ユーザーとして弊社の研究施設であるリサーチパーク鶴のトマト、パプリカ、キュウリ、アスパラガス、イチゴ、そしてトマトパークの大玉トマト、ミニトマトが登録されています。これらのデータは誰でも見ることができるため、是非参考にしていただきたい項目です。また、お友達登録した方や、公式ユーザーのハウスと自分のハウスの状況を同じグラフ上に表示し、比較することができますので、試してみてください。今回、昨年のデータではありますが、リサーチパーク鶴のトマトと、トマトパーク(大玉トマト)の温度と飽差、そしてCO₂濃度のグラフを重ねてみます。(図2)両者は同じ栽培方針のもと栽培を行っているため、大きな違いは無いように感じられます。日の出に向かった温度、飽差の上げ方などはほとんど変わりません。しかし日中や夜間の温度管理は互いの樹姿も異なるため多少違います。またリサーチパーク鶴での夕方の飽差が高く推移しています。これは行っている実験の都合で狙って行った結果ですが、このようなことまでデータを見ることでわかります。CO₂濃度(図3)について、リサーチパーク鶴では約480~600ppm、トマトパークでは約480~750ppmであり、それぞれの濃度の高い時間を比較するとトマトパークはリサーチパーク鶴よりも100~150ppmほど高く維持している事がわかります。

比較から策を練る

 高収量のトマトパークを参考にするならば、「CO₂の設定濃度を高くする」方法が考えられます。確かにCO₂濃度を高く管理すると収量は上がります。しかし、どれ位濃度を上げればどれ位収量が上がるのかイメージしにくいと思います。また、増量したCO₂の効果を最大限に発揮する環境管理も考える必要があります。このように新たな策を実践するにあたって、これらの因子を複合的に計算してくれる『プロフィットナビ』で収量の予測を行うことが有意義です。次回以降のリサーチパーク鶴だよりでは、これらの温度、日射、そしてCO₂濃度などのそれぞれを総合的に考慮し、何から変えていけば、収量増が見込めるのか、見ていきたいと思います。

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