農場の風

リサーチパーク鶴だより-第7便-

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図1 排液ECと尻腐れ果発生率の関係


写真1 根の様子







【ロックウールだからできること】

 リサーチパーク鶴では、パプリカ、キュウリ、ナスのロックウールを用いた栽培を行っています。今回はロックウールで栽培する理由や実際の活用方法をご紹介します。

(※ロックウール栽培の概略については、関連記事がございますので、そちらをご参照いただければと思います。

アグリジャーナル:https://agrijournal.jp/production/51607/ 

誠和YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=aZ9WJBZwRw4) 

【排液のタイミング、排液のECの把握で尻腐れ果が減少!】

 ロックウール栽培を行うと、地下部の可視化ができます。この可視化が今作特に役立ったのが、パプリカです。パプリカは、現在3作目になります。2作目の排液のデータと、収量調査を記録していたおかげで、今作大幅に尻腐れ果を減らすことができました。以下に具体的なご説明をいたします。

 2作目の時、排液のECと尻腐れ果の推移を記録し、グラフ化したものが図1になります。私たちは、このグラフから排液ECが3.5mS/cmを超えると尻腐れ果が増える傾向があることに気づきました。排液ECが3.5mS/cm以下になるように対応すると、尻腐れの発生率も減少しました。もちろんこれだけでは、「排液EC3.5mS/cm越え=尻腐れ果発生」とは言い切れませんが、今作は排液がEC3.5mS/cmを超えそうになったら、給液量を増やしたり、給液のECを低くしたりして対策を行っています。その結果、まだ作の途中ですが、尻腐れ果の発生を大幅に減らすことができています。

 このように、ロックウール栽培では、培地内の状況をデータ化することで、これまでわからなかった、気づくことができなかった尻腐れの発生要因の一つに気づくことができました。このような気づきを得ずして、十分な栽培の改善はできないと考えています。

【根の様子を見ると、栽培方針が立てやすい!】

 リサーチパーク鶴では多品目を栽培していますが、これほどまでに品目によって適正な培地の水分量が違うのか、と驚いています。例えば、パプリカは戻り率(排液量÷給液量×100)が40~50%に対し、キュウリは60~70%で管理しています。キュウリは、このくらい潤沢に水をかけることで、曲がり果を少なくでき、AB品率を高く維持できています。今まで栽培してきたトマトの経験からいうと、この高い戻り率は過湿で根痛みを引き起こすレベルの水の量です。そこで、排液率を高くした今作は、細かに根の様子を確認しながら栽培を行いました(写真1)。このように根の状況を簡単に把握できることもロックウールの大きなメリットだと感じています。キュウリは、70%と高い戻り率にしても、白く太い立派な根が多く、その水分量が原因で根が傷むということはありませんでした。根の様子を見ることで、安心して潤沢な給液を掛け続けることができました。樹の太さや葉色、花質を栽培の良し悪しの判断材料にすることは基本ですが、それだけでなく、根を見ながら栽培できることは、大きな武器になります。

【ロックウール栽培で、気を付けていること】

 ロックウールは、土と比べ、水の保持力が小さいです。つまり、給液管理が細かく行えて高いレベルの栽培が容易にできます。しかし、それと引き換えに、万が一の水不足に弱いです。たとえば、給液ドリッパーの詰まりや、給液量のムラは生育にダイレクトで影響します。また、ドリッパーは一度詰まると、詰まりを取ることは難しく、ドリッパーの取り換えになることもあるので日頃の予防を大切にしています。ドリッパーが詰まる要因は、肥料成分の析出か有機物による目詰まりの2つがあります。リサーチパーク鶴では、この予防として肥料の析出にはpHの適正値を維持すること、有機物による詰まりには、作替えの際にユニットから配管を次亜塩素酸系殺菌剤で消毒を行うことで対応しています。(※システムによっては塩素系殺菌剤が使えないものもあります。使用の際は注意が必要です。)

 以上、今回はロックウールで栽培する理由や実際の活用方法をご紹介いたしました。初期費用の面から、敷居が高いと思われているロックウール栽培ではありますが、それにも勝るメリットがあります。導入を悩んでいる方はぜひご検討いただければと思います!

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