農場の風

オランダだより ‐第20便‐ 2015年1月8日

LEX+


交配の様子


v. d. Berg ROSESの群落の様子


v. d. Berg ROSESの高設ベット


GreenQでの集合写真





はじめに

いつも弊社商品をご利用いただきまして誠にありがとうございます。研究開発部の杉山です。今回は2014年12月1日~12月7日にかけて行われた、オランダ最新バラ生産技術視察ツアーでの内容をお伝えしたいと思います。

今回の参加者は生産者様8名、誠和社員4名の合計12名でした。オランダでの活動日数は4日間でしたが、その間バラ生産者、苗生産者、花卉市場、種苗会社、研究機関、制御機器メーカーなど合計10ヶ所訪問し、非常に密度の濃い視察となりました。
こ の4日間はほぼ太陽を見ることはなく、どんよりとぶ厚い雲が立ち込めていました。冬季におけるオランダの光条件は弊社小金井事業所のある栃木県と比較し て、日長時間が約2時間も短く日射量はおよそ1/4と聞いてはいましたが、正直これほど光がないのかという印象でした。このような環境の中で、どうして世 界有数の生産量を上げることができるのでしょうか?今回は10件の視察先の中から、興味深かった3件をご紹介させていただきます。

LEX+

 マーケティングマネージャーのローカスさんに説明、案内を受けました。まずはミーティングルーム内のきれいなバーで、ウェルカムドリンクでもてなしてくれました。さすがは世界を相手にした、おしゃれなヨーロッパの会社といったところでしょうか。
説 明の必要はないかもしれませんが、LEX+はAvalanche+を中心に世界展開している種苗会社です。LEX+のマーケティングは、スーパーマーケッ トで販売するバラではなく、花屋で取り扱う高品質なバラの育種です。ブランド維持のため、生産者や生産国さえも限定し、ヨーロッパへの輸出を目的とする国 には販売していないといいます。オランダ国内でもわずか14名しか栽培ができず、生産者と密な関係を保っています。またバラを育種・販売するだけでなく、 生産したバラの使い方の新しい提案なども行っており、花卉市場全体の拡大・活性化にも傾注しているそうです。こういった取り組みは、民間企業であればこそ で、見習うべきところがたくさんあるように思えました。
展示圃場では、交配から新品種の育成までの過程を見学させていただきました。年間50万 粒 もの種を播きますが、その中から選抜され市場に出る可能性のある品種は2~3品種だといいます。播種して可能性がありそうな品種のみが選抜・挿し木されて 数を増やして隣のハウスに、その中でまた可能性が高そうな品種のみが選抜・挿し木されて数を増やして隣のハウスに移動していくという流れでした。非常に手 間のかかる作業です。こういった地道な作業の上で私たちはバラを栽培でき、また愛でることができるのだなと思うと、頭の下がる思いです。

 

 

v. d. Berg ROSES

8.3ha の大規模生産ハウスで、弊社が行っているバラセミナーでお馴染みの世界中でバラのコンサルタントを行っているWimさんの案内、説明でハウスを見せていた だきました。もちろんv. d. Berg ROSESも、Wimさんがコンサルタントを行っている生産者のひとつです。    
Avalanche+ シリーズ(ピーチ、ピンク、キャンディー、エメラルドなど)を中心に7~8品種を栽培しています。この圃場からは多くの枝変わりが発見され、前述の LEX+に持ち込まれ、新しい品種として固定されているそうです。主力の栽培品種はAvalanche+で一部9年間生産を続けている株も見せていただき ました。
栽培ハウス内はほとんどが同じ品種であるため挿し木苗を利用しています。挿し木の方が生産性は高く、採花本数が多くなるそうです。しか し、日本のように同給液系統に異なる品種を栽培する場合、品種により養水分の吸収量が異なりその差を極力抑えるため、同一の台木への接ぎ木が適していると のことです。
栽培管理で特筆すべきところは、365日、24時間での補光を行っていることです。こうすることで20mol/m2/日以上の光量 を 確保しています。Avalanche+は1molの光で3g/m2/日の生産が可能なので、冬季の現在でも60g/m2/日=1~1.5本/m2 /日=10~11本/m2/週の生産を続けています。単純計算では、このままのペースの採花本数だと520~572本/m2/年採花できることになりま す。驚異的な数字です。光を中心にした植物生理の理論を実践し、こういった生産を可能にしているのでしょう。
システムの特徴としては4列ベットに よる切り上げですが、ベット自体が高く設置されているところがありました。ベットが高い方がベット下の空間が大きくなり、空気がこもりにくく、CO2の拡 散も良いとのことでした。またベットが温湯レールから遠くなることで、植物体は冷えて培地温度だけが高くなってしまうことがないといいます。収量性はこち らのベットの方が良いらしいのですが、地面より高い所で作業できる台車は必須でしょう。

 

GreenQ Improvement Centre

最 後にGreenQです。この記事を見ていただいている方にはGreenQの説明は不要でしょう。今までのオランダ便りでも、何度か登場しています。 GreenQは隣接するワーヘニンゲンURと連携し、新しい技術の開発やその技術が現場で利用できるようにする研究を行っています。
生産者との ミーティングも定期的に行っており、ことバラに関しては週に一度3、4名、月に一度10~15名、3ヶ月に一度60名の生産者と見学及び打合せをするとい います。60名とはオランダにおける、ほぼ全てのバラ生産者数です。GreenQの信頼や技術の高さ、オランダの施設栽培を牽引するリーダーシップ力がう かがえます。
施設を見ると、約1000m2のハウスでPerfect Roseという課題名で栽培試験を実施していました。1,000Wの高圧ナトリウムランプが120個と樹間補光のためのLEDが設置されたハウスでした。 ここで行われている試験の目的と目標は、収量と品質を落とさず2年半かけて省エネ(ランニングコストの削減)を達成するというものでした。目標達成のため に様々な試験を行っているようでしたが、その一つで効果を上げているのが外気導入のようです。外気導入の最大の目的は除湿です。今までは天窓を開け暖房を 行い除湿していました。外気導入は乾燥した外の空気をファンで取り入れ、加熱により室温と同温度にしてから室内に取り込むもというものです。こうすること で、今まで天窓を開けた際に損失していたエネルギーよりも少ないエネルギーで除湿ができるそうです。もちろん外気の温度が高かったり、湿度が高かったりし た場合の効果は低下するので、その場合は既存の手法で除湿を行うそうです。このシステムは現在オランダ国内において合計150haの生産ハウスで実施され ているといいます。
栽培試験の印象としては機器が最新・最先端なわけではなく、目標を達成するために何をどう動かすかということでしょう。外気導入が日本の環境に適しているかは別にして、非常に刺激的なものでした。

 

おわりに

今 回初めてオランダのバラ生産現場を視察しました。その中で最も驚いたのは品質の高さです。採花本数が多いことは見聞きしていましたが、それでいて茎が太く 花も大きかったです。この要因は光合成促進のための補光やCO2施与など、エネルギー投入量とその利用効率の違いだと考えられます。
オランダと 日 本ではエネルギー事情が全く異なります。しかしそのオランダでも、近年エネルギー事情が変わりつつあるようです。今回の視察先で見聞きした限り、現在のオ ランダバラ栽培のキーワードは『省エネ』であると感じました。ただし採花本数や品質を落とさないということが条件です。GreenQの外気導入もそうで しょう。記事には書きませんでしたが、補光の仕方をエリア毎で順々に行っていた生産者もいました。これだけの生産性を上げているオランダでも、日々情報収 集・研究を繰り返しています。まだまだ日本の現場でもできることがあり、収益性を向上させることは可能だと思います。その一躍を弊社の社員の一人として 担っていければと、強く感じました。

追伸:今回のツアーに参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。短い間ではございましたが、今後の皆様の栽培に少なからずお役に立てていただけたらと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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