農場の風

オランダだより -第21便- 2016年9月16日

生産されるトラストマト


C.G. van Windenさんの栽培の様子


Enza Zadenで案内をしてくれたWimさん


展示施設の様子


栽培試験ハウス内の様子





はじめに

いつも誠和商品をご利用頂き、誠にありがとうございます。豊橋営業所の加座です。81日~87日の期間で行われた、弊社主催の「2016年誠和オランダ最新トマト生産技術視察ツアー」についてお伝えしたいと思います。今回の参加者は、生産者様5名、取引業者様・関係者様8名、誠和社員7名の計20名でした。現地ではトマト生産者や種苗会社など7か所の見学を行い非常に充実したスケジュールでした。その中でも特に興味深い2件の訪問先についてご紹介させて頂きます。

トマト生産者:C.G. van Winden

60年前の祖父の代から続くトマト生産者で、拠点40か所、総面積301haを誇る生産者グループProminent(プロミネント)に所属し、施設園芸先進国オランダの中でもトップ集団を走る生産者です。 軒高5.4m、総面積11.4haと日本ではあまりお目に掛かることのできない非常に大きなハウスでした。といっても、最近のオランダでの新設ハウスは最低10ha以上と大規模化しているため、ごく一般的な規模のハウスということに驚きです。 品種は高収量が可能なMerlice(マリース)と呼ばれる房取りトマトを栽培し、74t/10aと非常に高い生産量を誇っています。一部の区画では2年間から補光ランプを導入し、95t/10aもの収量を達成しています。「トマト100tどり」など日本で聞いていた通りの現状に参加された方からも自然と「すごいな」と感嘆の声が上がっていました。しかし、オランダといえば日本の1/4程度の日射量で、作物にとって最も重要な光合成に向いている環境とは思えません。では、なぜ世界一の収量を実現できたのでしょうか。 最も特筆すべき点は、何といっても情報共有だと思います。オランダの情報共有・情報収集には大きく2つの方法があります。まずひとつめは栽培コンサルタントです。生産者は彼らを週に1回ハウスに呼び、2時間程で現状と今後の方針を話し合うそうです。そして2つめはstudy club(スタディークラブ)と呼ばれる生産者同士の勉強会です。例えばこの生産者の場合、同じProminentMerliceを栽培している 5名の生産者が週1回集まり、半日程掛けてじっくりと互いの情報交換や栽培について話し合うそうです。オランダの生産者はstudy clubに非常に重点をおき、栽培コンサルタントはそのアドバイスとみなして使っているとのことでした。この情報共有の体制は、その後に訪問した生産者でも当たり前のように整っており、大量の情報が飛び交う中でも、全ての生産者が同様の情報を持ち、栽培に対する意識の共有も行えていました。日本でもこのような体制が整えば、更なる収量増加への起爆剤となるのではないでしょうか。

育種会社:Enza Zaden

世界有数の種苗会社Enza Zaden(エンザ・ザデン)が、生産者のハウスの一部を間借りして行っているトマト品種の試験・展示施設に訪問しました。まず通された部屋には、色とりどりで形大きさも多様なトマトが数十種類展示されていました。そのトマトはどれを食べても甘味旨味が強く、こんなに美味しいのかと皆さん驚きを隠せませんでした。近年、オランダでは収量もさることながら、「味」、「味覚」について非常に強い関心を持っています。オランダ人はそれらを向上させるのは栽培技術ではなく、品種によるものと断言しています。しかしその品種を日本で栽培してもオランダと同じ様な収量と品質を達成出来るかと言われれば困難です。なぜならオランダでは、その驚異的な収量を達成し得るための栽培の基盤があるからです。それは今回訪問したEnza Zadenの試験・展示施設でも垣間見えてきました。 現在、オランダ国内のトマト施設面積は約1900haで、内500haは補光ランプを利用しています。トマトの種類別にみた施設面積はおおよそ、トラストマト(房取り)1000ha、カクテルトマト(中玉)500ha、プラムトマト(卵型)100ha、ミニトマト100ha、スウィーティー(高品質ミニトマト)100haとなります。Enza Zadenでも多くの品種にて栽培試験を行っており、中には日本でも流通しているカクテルトマトのカンパリなどの品種もありました。 カンパリの栽培では、定植本数は2.6/m2で行い、側枝伸長にて最大4.5/m2にします。かん水EC2.53.5に設定することで、培地内EC4.55.0に保ちます。この栽培によって、4142t/10aと非常に高い収量を実現しています。 そんな中、興味深かったのはハウス内には数十品種のトマトが栽培されていますが、ハウス内環境は同じという点です。通常の栽培であれば、品種や状態によって統合的に判断して環境を変化させていきますが、多種多様な品種が混在したハウスでこの管理は出来ません。しかし、どの品種においても当たり前のように日本を遙かに凌ぐ高収量を達成しています。これは、CO2施用や温度条件等のハウス内環境が高度に管理され、品種に合わせた定植本数や摘葉などの栽培管理ができている証拠です。その裏には、栽培コンサルタントや勉強会による情報共有と情報収集があり、その重要性を強く感じ取る機会となりました。

おわりに

今回の視察ツアーで、もうひとつ心に残った言葉があります。それは「Green finger」です。直訳すると緑の指ですが、この言葉が表わす意味は、実際に圃場で作物を触っている、栽培作業をしているということです。Enza Zadenの栽培管理者も、「パソコンの画面を見るだけでなく、もちろん圃場で作業している」と言っていました。決して作業者になるということではなく、オランダの栽培がどれだけ最先端であろうが、やはり栽培の主役は作物だということを改めて感じさせる言葉でした。また日本との意識の違いを感じることが多々ありました。農家は単なる生産者ではなく経営者としての意識、情報・知識に向き合う姿勢です。この2点はどの訪問先でも強く感じるものでした。 弊社も、各種勉強会や友の会交流会などで多くの情報を提供させていただいておりますが、今後はこれまで以上に情報発信、情報提供に力を入れて行っていきたいと思います。  

PS. 今回の視察ツアーにご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。短い期間ではございましたが、今回のツアーが皆様の今後に少しでもお役に立てば幸いです。今後とも宜しくお願いいたします。 誠和のトマトパークにも是非お越し下さい!!

一覧へ戻る

関連情報

関連商品

関連製品はありません。

関連資料

関連資料はありません。

ページの先頭へ