農場の風

オランダだより -第22便- 2017年8月18日

C.G van Windemのハウス


牽引されていくトマト


de Koning b.v. 有機土耕栽培ハウス


Rijk Zwaan トマト品種展示ハウス


様々なパッケージング


Priva 労務管理システム


Priva 労務管理システム



はじめに

いつも誠和商品をご利用いただきありがとうございます。肥料課の名井です。毎年恒例になりましたオランダトマト視察ツアーを紹介をさせていただきます。今年は7月23日~7月30日の1週間の旅で、オランダのトマト生産から消費者に届くまでの流れがわかるツアーでした。今回は例年より多く21名のお客様に参加いただきました!

では、なぜオランダなのでしょうか?生産から消費者までの流れにどのような意味があるのでしょうか?オランダはご存知の通り施設園芸が世界で最も進んだ国の一つです。面積や生産量で言えばもっと大きな国がありますが、その多くの技術の元はオランダです。そして、進んでいるのは生産技術だけではありません。ここから、それらの背景にあるものを理解していただくために、ツアーの流れと、訪問先、そしてそれぞれの役割を紹介させていただきます。

 

事前準備:結団式(成田市)

みなさまと顔合わせをおこないました。主にトマト生産者の方でしたが、イチゴやミカン、葉物の方もいらっしゃいました。トマトツアーではありますが、オランダの施設園芸に対するみなさまの興味の強さが伺えます。この結団式の主旨はオランダについての事前情報講座です。オランダのハウスや市場について注目してもらいたいこと、旅の注意点などを説明します。オランダの生産から市場までを理解するために重要な事前情報になりました。

コンサルティング:Delphy

世界最大の農業コンサルティング会社です。施設園芸だけでなく露地作物も手がけています。オランダでのコンサルティングはカーテンや暖房と同じように当たり前に導入するものになっています。今回訪問したのはImprovement Centreという試験圃場です。そこでは研究レベルの小規模試験と生産現場での実栽培との中間規模の施設(約1,000m2)で新知識の実証を行っています。Delphyは単にコンサルティングを行うだけでなく新しい知識の形成を担います。このような機関があることで、生産者まで新しい情報が常に届きます。オランダの技術向上が非常に早くなる一つの理由です。

トマト生産者:C.G van Windem、de Koning b.v.

トマト生産者には2件訪問しました。C.G van Windemは11haの施設で房取り大玉トマトを栽培しオランダでもトップクラスの95t/10a収穫する生産者です。オランダ標準装備に加えて、近年増えている補光ランプが設置されています。オランダではロックウール、温湯レール、グローパイプ、CO2チューブ、ドリップチューブなどが標準装備です(実物が見たい方は是非トマトパークへ!)。作業の効率化と労務管理が徹底されており、房取りで収穫されたトマトはその場で箱に詰められ、カートで引いて選果場に運ばれます。その後、コンベアーに自動で乗せ換えられ、流れながら最終選果場で重量チェックされます。選果後は、自動でパレットに積まれて出荷されます。収穫から出荷まで一連の導線が作られており、それぞれの作業をだれがどれだけ行ったのか経営者はすべて把握しています(当然、経営者も作業をしています)。作業効率の目標も設定されており、評価の対象になっています。オランダでは直接小売店と契約し生産物を納めています。いわゆる市場はありません。そのため、価格交渉も重要な仕事になります。小売店は毎年値下げを要求してきます。それに対し生産者は価格を守るために様々な付加価値を付けて販売しています。C.G van Windemでは他の生産者と組んでブランド(Prominent)を定着させており、価格を守っています。

2件目のde Koning b.v.は有機栽培の生産者です。トマトだけで特徴のある20品種を栽培しています。オランダで最も一般的な房取り大玉トマトでは52t/10aと有機栽培の中でも非常に高収量を得ています。土耕栽培ですが、C.G van Windemのハウスと違うのはロックウールとそれを設置するガターがないだけです。他の設備はほとんど同じでした。温湯レールもドリップチューブもグローパイプもすべてあります。有機で土耕だからといっても何ら変わりのないオランダのハウスでした。土耕のため輪作を行い、見学したハウスではトマトとパプリカを1年ごとに栽培しています。栽培終了後は土壌消毒や耕起はせず、土壌の上に堆肥の元肥を乗せる日本ではあまり見ない方法で栽培をしていました。追肥は微量要素のみだそうです。栽培技術で非常に参考になるのは、土壌分析ではなく、汁液分析を重要視しているところです。ロックウール栽培であれば給液と排液を分析することで植物がどれだけ吸水・吸肥したかわかります。土耕では排液がわからないので、毎週汁液分析を行い、植物にどれだけ成分が含まれるかチェックします。その結果を元に微量要素の追肥をしています。土耕栽培では非常に合理的な方法です。

種苗メーカー:Enza Zaden、Rijk Zwaan

種苗メーカーも2社訪問しました。どちらも展示圃場になっており、試食室を持っています。オランダのトマトは「まずい」、「水爆弾」、と言われたのは一昔前の話で、最近のオランダトマトは非常に美味しい!というのが参加者全員の感想でした。日本人は甘いトマトが一般的に好まれますが、オランダでは酸味の強さも重要視されています。いずれのメーカーも甘い品種から酸味のある品種、多収の品種までバリエーションが豊富でした。開発スピードも早く、生産者も数年に一度は品種を見直します。どちらのメーカーも遺伝子操作は行っていません。耐病性も重要ですが、生産者がどのような商品を作りたいかが開発のキーワードになっています。これは付加価値付与にとても重要です。収量と品質の向上には品種の力も不可欠となり、種苗メーカーの努力もオランダの技術力の一つです。

パッケージセンター:Greenpack

パッケージセンターは日本には存在しない機能で、生産者がパッケージングで付加価値をつけるための施設です。Greenpackは64名の生産者が出資して設立されたパッケージセンターです。生産者で栽培されたトマト(パプリカ、キュウリなども含む)はコンテナに入れられGreenpackに持ち込まれます。トラックの受け口は50ヶ所あり次々とトマトが運ばれていました。施設内ではラインごとに巨大な選果機で大きさ別や色別などに分別され、箱詰めされるものからカップに入れられるものまで様々な形状で最終出荷形態になっていきます。イメージは選果場というよりも食品工場のようでした(写真撮影は禁止でした…)。このようにパッケージセンターでは価格を守るためにパッケージングを手法にして付加価値を付けています。

機器メーカー:Priva

弊社が国内の代理店を行っているハウス内の環境を制御する総合機器メーカーです。Privaでは統合環境制御システムやかん水装置、労務管理システムが展示されていました。このような機械は生産者の生産性の向上と省力化に貢献しています。特に労務管理はあまり日本で浸透していないのではないでしょうか。C.G van Windemの項目でも記載しましたが、作業者の能力を把握することは生産性の向上に大きく寄与します。また、新しい取り組みとして、摘葉ロボットの開発が進んでいました。今後、人件費が日本よりも高いオランダではより省力化が進んでいくでしょう。

最後に

オランダが生産性の向上や省力化を進められているのには各分野の住み分けとその分野のスペシャリスト化が大きく寄与しているのではないでしょうか。オランダの生産現場から消費者までの流れを見てみるとその理由が理解できると思います。オランダの労働力当たりの生産性は日本と比べて2倍以上高いです。それは厳しい販売条件に対する生き残りを懸けた改善もあるのでしょう。日本はまだまだトマトが高く売れる国ではありますが、今のままで大丈夫でしょうか?まずは自分のトマトの生産コストはいくらか?従業員の時間当たりの作業量はどのくらいか?そこに意識を向けてはいかがでしょうか。改善の糸口が見えてくるかもしれません。拙い文章ではありますが、何か疑問等がありましたらお気軽にお問い合わせください。また、興味のある方は是非、誠和のオランダ視察ツアーにご参加ください。誠和社員一同お待ちしています!

 

今回のツアーにご参加していただいたみなさまへ

トマト視察ツアーにご参加いただきありがとうございました。

何か思い出した・思いついたご質問等ありましたら参加したメンバーにお気軽にお問い合わせください。今後ともよろしくお願い致します。

 

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