農場の風

オランダだより ‐第17便‐ 2013年8月9日

GreenQの前で記念写真


GreenQでのセミナー


Duijvestijn tomato ハウス内


Duijvestijn tomato


有機栽培トマト


有機栽培トマトのパッケージング


Rotterdamの街並み



4泊6日オランダ視察

 いつも弊社商品をご利用いただき、誠にありがとうございます。今回は7月21日~7月26日の4泊6日でオランダ視察へ行ってきましたのでその内容をお伝えしたいと思います。今回の参加者は生産者様6名、研究機関様2名、取引会社様3名、誠和社員4名の合計15名でした。オランダに滞在したのは4日間で3日間は見学を行い最終日が自由行動というスケジュールでした。ちなみに、この時期のオランダの日の出は5:40、日の入21:50、日長時間は日本より約2時間長い16時間10分です。朝起きてから夜までずっと明るいという状態でした。

GreenQ、Improvement Centre

 最初の見学ではGreenQ、Improvement Centreという民間の栽培試験施設へ訪問しました。私が個人的にも一番楽しみにしていた施設です。弊社主催のセミナーへご参加頂いた方はすでにご存知の事も多いとは思いますが簡単に紹介させて頂きますと、GreenQは世界13カ国で施設栽培のコンサルタント業務を行っており、農作物の生産性および品質改良を中心に考え、生産者により大きな収益をもたらすことを目指している民間企業です。コンサルタント業務を行っている方は総勢15名で現在は海外への進出に力を入れているそうです。生産技術のアドバイスだけではなく、ハウス設計の段階から経営戦略まで施設園芸に係わる事のほぼ全てのコンサルティングを行っています。私たちが訪問した時は、まず座学でGreenQとはどういう会社なのか、どういう栽培の実験を行っているのか、日本の夏期高温時のトマト栽培についての講義があり、その後に実験ハウスを見学しました。今オランダでは外被材であるガラスに光を散乱させるタイプにするのが流行っているとの事で通常のガラスと散乱タイプのガラスの実験を行い生育および収量にどのように影響を与えるのかの試験を行っていました。その他には補光の実験としてナトリウムランプとLEDを50%ずつ使用し作物に与える影響を計測していました。見学したトマトハウスでは日中に最低CO2濃度を550ppmで制御していました。施用量としては1ha当たり110kgです。近隣の生産者ですと1ha当たり200~300kgの施用量だということでしたので、濃度ももっと高く制御しているとのことでした。地上部・地下部ともにすべてコンピュータ制御を行っています。灌水は循環式になっていて50%排液を出すように給液を行い、その排液と新たに培養液を50%混合して給液を行い循環させていました。今回の栽培試験ハウスでのトマト収量は約65t/10aでした。トマト以外にもパプリカ、バラ、アマリリスを見学させて頂きました。GreenQで行っている試験は随時生産者へのフィードバックを行っており生産者の収量向上の一翼を担っている様でした。

Duijvestijn Tomato

 その後に訪問したトマト生産者は4兄弟で経営しているDuijvestijn Tomatoでした。1988年の創業時は1.5haだった施設面積は現在13.5haまで拡大しています。始めに事務所に通して頂き、オーナーのDuijvestijn氏自らパワーポイントの資料を使い会社の概要・取り組みの説明がありました。第一印象は生産者といっても実務は企業経営者なのだなと感じました。年間900万kgのトマトを収穫しており、5カ国のスーパーへ出荷しています。将来的には加工品の出荷も考えていてジュース、ジャム、ビール等の販売を検討していました。現在建設中の施設があり、そこではエネルギー節減・水節減・防除をテーマに考えた試験を行い今後の投資をどの様に行っていくかの優先順位を決めているとのことです。このDuijvestijn氏はProminentと呼ばれる出荷組合の1人で、そのグループでは地熱を利用したエネルギー削減を行っていました。地熱の利用というのは地下約2kmにある75℃の地下水を利用し暖房に使用することで、エネルギーの削減を図っています。又、CHP(ガスエンジン)を使用し7.2MWの発電を行っていました。労働力として積極的にインターンシップの学生を受け入れて若い世代の斬新なアイデアを参考にして新しい事に取り組んでいるということでした。短期計画・中長期計画と段階的な目標を明確にし、新しい技術は積極的に且つ熟考し収益増加に努められているのが非常に印象的でした。

有機栽培トマト生産者訪問

 2日目の午後は、有機栽培でのトマト生産者Frank de Koning B.Vに訪問しました。栽培面積は8.5haでトラストマト、カクテルトマト、マイクロトマトを栽培。定植は1月1週目から2週目にかけて行い11月中旬にすべて片付けられているそうです。外被材には5月から9月上旬まで散乱タイプの塗布剤を散布しています。カーテンスクリーンはXLS10ウルトラの2層を使用していました。収量はトラストマトで50t/10a。収量はロックウール栽培に比べ30%少なく価格は50%高いということなので経費は別としてオランダではロックウール栽培よりも有機栽培のほうが売上額は高いのだと思いました。ただオランダの生産者は95%がロックウール栽培ですのでリスクやコスト、栽培技術を考えると有機栽培は選ばれないということになります。その理由としてオランダでは有機栽培と称してトマトを販売するには非常に厳しい制限(認証取得が必要)があるということでした。例えばプラスチックのマルチを敷いてよいのは土の面積の30%以下までなど決まり事が事細かにある様でその分手間が掛かっていくためにロックウール栽培が主流になっているとのことでした。ミストシステムも使用しており日中11:00~17:00の間で相対湿度が60%以下になると動作する様に使われていました。訪問した感想としては有機栽培とロックウール栽培ではマーケット自体が異なっているために、それぞれの長所を活かし、ある時は短所を補う形で共存しているのだと感じました。

 おわりに

 実際にオランダに訪問する前までは、オランダのトマトは水っぽくておいしくないというイメージを持っていました。ただ実際に様々なトマトを食べさせてもらったのですが正直おいしかったです。日本では「収量を上げようと思うと品質を低下させてしまう」ということをたまに言われる方もいらっしゃいますが、光合成を高めて収量が増加する場合、そのようなことは無いのだなと改めて感じました。

 今回のオランダ視察ツアーでは多くの物を見る事ができ、またオランダの生産者が何を考えて経営しているのか少し理解出来たと思います。印象に残ったのはサステイナブル(持続的)という言葉でした。エネルギーの利用効率の向上や栽培技術・栽培環境の改善など持続的に取り組んで来たオランダだからこそ今の状況があるのだと感じました。

PS.今回ツアーに参加して頂いた皆様、短い間ではございましたが誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

 

 

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