オススメ製品 Recommend

「トマト栽培セミナー」へのご参加 誠にありがとうございました

2018年06月15日

小金井営業所の若菜です。5月8日から5月11日にかけ、オランダのデルフィー社の栽培コンサルタントであるウィン・ファン・デア・エンデ氏を講師に招いて、トマト栽培セミナーを開催いたしました。熊本、兵庫、愛知、栃木の4会場で合計133名の方にご参加いただき、大好評のうちに終了しました。以下に、セミナーの講義内容の一部を簡単にご紹介いたします。

 

トマトでの労務管理

労務管理は記録である。しかしやる気のある人なしではできない
 

■やる気のある人

・働く人の環境を良くしてやる気を高めることが重要。その方法は、
①透明性を維持する
②適切な態度
③労務記録
④打合せ、議論の時間をつくる
・従業員に何をやってもらいたいかを明確にする
・役割を明確にしないと管理者の期待値を満たしてくれない

 

■ダグラス・マグレガーのXY理論

・従業員にはXとYの2種類の人がいる
・Xタイプ:行動的ではなく、変化を好まない人。やる気を上げるにはアメとムチ
・Yタイプ:意欲が高く、成長を望む人。やる気を上げるには、色々な仕事を任せ、責任をもたせる
・従業員はどのタイプかを把握し、どのように成長させるかを考える

 

■責任

・当事者意識をもたせることが重要、まずは簡単なことから始める。例えば、
①道具を洗う、区画の掃除 
②排液管理を任せる。ECとpHを測定する意味を教えれば考えるようになり責任感が出る
③環境データを集めさせる
④共用部分の掃除の責任を持たせる。当事者意識がでる、やる気が出る。ハウスもきれいになる。責任はみんなで共有する
⑤保守点検の責任をまかせる

 

■従業員の社会的存在と価値

管理者はどのように従業員と接していけばいいか?C.R.A.C.Aをする
C. 信頼する。従業員も信用してくれる
R. 尊敬する。5つの中で1番重要。例えば、あるとこがキレイだったら誰がやったのかを把握し評価する
A. 心遣い。従業員に関心を示す。例えば、趣味はなんですか。週末は何をしましたかなど
C. 挑戦。新しい課題をどんどん出していく。それが責任に繋がる
A. 評価。わかりやすいのはお金。しかしそれだけではなく感謝も重要。小さなことで良いので1日1個褒めてみる。人間はそれでも満足する

 

■労務記録

・世界中で人件費が高騰しおり、労務記録をとることは非常に重要視されている
・多くの生産者が規模を拡大しており、多くのデータを集めることができるようになってきた。結果、新しい関係性を発見して持たせることができてきた。例えば労務管理と収量記録の関係性など
・労務記録をとることは労務管理を実行するのに重要
・主観的ではなく客観的に記録する
・ハウスが点在している場合、全部のハウスを見るのが困難なので責任を分散させることが必要。異なるハウスの労務記録を比較してみる

 

■記録

・情報は1つのシステム内に入れる
・そうすることで簡単に圃場ごとのデータ比較ができ、他のデータと関係付けられる

 

■始め方

・1日に必要な労働力は季節によって変わってくる
・まずは表を作ってみる
①1列ごとの目標作業時間を決める。その作業を1週間実施するのに必要な時間を書く
②予想を立てる。1日の労働時間を予測していく
③実際の結果を記入する
④結果をもとに必要時間の精度を向上させる

 

■誰が・いつ・何を

・適正な人員がいるのか、増員すべきかなどを検討するには、従業員がどれくらい作業できるのかという基準値が必要
・まず畝に番号をつける。その列に誰が入り、何分かかったかを記録する
・こうした労務記録をつけることは新しい視点を持つことが出来る。例えば、摘花に15分かかった人、20分かかった人がいるとする。作業時間差は5分だが、33%仕事が遅いということがわかる

 

■作業品質の管理

・作業は速度だけではなく品質も確認する必要がある
・早くて品質が良いのが最適。品質を向上させることも同時進行で行う
・品質管理の責任者をつくることを推奨する。定期的に従業員を評価させる
・これは新人の教育にもなる
・管理表をつくる。作業内容に対して評価をつける
・不具合があったら、みんなで共有する。だれがどのように悪かったかを注意する。1、2週間後にもう一度確認する
・速度と品質の両方を見ていくと作業全体の改善に繋がる

 

■作業項目

・どのような作業があるかを分ける
・つる下ろし、わき芽とり、誘引、収穫・・・

 

■作業基準の決め方

・時間あたりの作業可能株数を測定する
・これが労務管理の基本の単位(〇〇株/時間)になる
・主枝本数を把握する。側枝を伸ばしたら数え直す
・基準値は作業方法によって変わる。例えば巻きつけとわき芽とりは同時か別々か?ハサミとナイフでのスピードと品質は?これらが作業の改善に繋がる

 

■作業時間

・年間の作業時間を把握する
・品種によって作業時間は変わる
・例えば、オランダで主流の房取りトマト(Merlice)の場合、作業時間は700~750時間/10a(収量は65~70t/10a)
・ミニトマト(Sweetelle)の場合は1500時間/10a(収量は30t/10a)
・労働生産性を向上させることが重要

 

勉強会(スタディークラブ)

・オランダでは1945年から取り組んでいる
・第二次世界大戦後、食糧難を逃れるためにどうすれば供給量を増やせるか、どうすれば生産者の知識が高められるかを考え政府が推奨した
・6、7人でグループをつくることから始まった。その後生産者のレベルが格段に上がっていった
・実施していることは単純で、栽培で得た経験を共有する
・これが勉強会をやる重要な理由。オランダではほぼすべての生産者が実施している
・知識を共有することで、新しいことに挑戦しやすくなる

 

■実施方法

・実施したい生産者を探す。隔週でハウスに訪問する。経験したことを話す
・各自がちょっとした試験もする。例えば新しい品種など
・必要経費はそんなに高くないが情報価値は高い
・毎回議論する内容を決める。自分たちの意志でやる
・個々のデータを整理し、環境データ、かん水、生育調査、病気、エネルギー使用量などのデータ交換がおすすめ。重要なことは定期的に継続して行うこと

 

■生育調査

・データ交換するとき重要なことは、観察した植物の状態を数字に置き換える
・生育調査の第一歩は信頼できる生育調査株を選択すること
・調査株数は最低10株。畝に入って左右5株ずつ
・調査項目は、茎の伸長量、開花の高さ、茎径、葉長、葉数など

 

湿度制御

・湿度が高いと病気の発生率が高まる
・湿度が低いとストレスになる

 

■湿度とエネルギー
・湿度はエネルギー利用にも関係する
・蒸散時は空気中のエネルギーを奪う
・湿度が高すぎる時は除湿をするがエネルギーが必要になる
・蒸散は重要だが、過多な蒸散はより多くの生産にはつながらない

 

■湿った空気と乾いた空気

・温かい空気は冷たい空気よりも多くの水蒸気を含める
・湿った空気は乾いた空気よりも軽い。窒素より水の方が軽いため。雲がその例
・空気は冷たくなると結露しやすくなる。同じことがトマトでも発生する。茎も同様。これが灰色かび病の原因。ハウス内の湿度を測定することが大切

 

■相対湿度

・相対湿度は空気がどのくらいの水蒸気で満たされているかの度合いを%で示す
・相対湿度=絶対湿度÷飽和水蒸気量×100%
・多湿のときは換気をして乾いた空気を取り込む。もしくは暖房を行う

 

■飽差

・飽差=飽和水蒸気量-絶対湿度  
・蒸散と関係する

 

■モリエ線図
・エンタルピー:空気が持つ熱量(エネルギー)のこと。ハウスの温度1℃あげるのにどれくらいのエネルギーが必要かを計算できる

 

■絶対湿度

・外気の絶対湿度を把握すれば、雨の日でも天窓を開けて除湿できる

 

スクリーンと換気を利用した除湿

・オランダの施設園芸では投入するエネルギーの20~30%は除湿に使われている
・エネルギー節減のために除湿のやり方が年々変わってきており効率がよくなってきた

 

■今までの除湿方法(10年前)

・相対湿度が上昇したとき
①パイプ温度を上げる(暖房)
②スクリーンを少し開ける
③天窓を少し開ける →風下
・暖房により空気が温まると植物の蒸散が盛んになる。そのためこの方法は多くのエネルギーを投入することになる
・効率が悪い。今現在実施している人はほとんどいない

 

■新しい除湿方法

・相対湿度が上昇したとき
①天窓を少し開ける →風上
②スクリーンをほんの少し開ける、2~3%
③パイプ温度を上げる(暖房)
・スクリーンを活用した効率な除湿方法、現在はこの方法が主流

 

温度積分

次世代栽培での方法
・外気象に応じて温度管理を変える
・植物は平均気温に反応する
・その気温は日射量に応じて決める
・植物は昼夜の温度差には対応できる。曇の日は夜温を下げる。晴天日は日中の温度を上げる
・長期間でみた平均気温を制御して管理することを温度積分という

 

 

おわりに

 今回、オランダで行われている収穫や誘引などの栽培管理作業を、実際にオランダの現場での新人教育に使われるビデオを見ながら説明しました。いかがでしたでしょうか?当たり前の作業で普通だなと思うとこもあれば、あれ?うちとやり方違うぞ。え?そんなやり方があるの?というのが少なからずあったのではないでしょうか。
 私はそもそもこういったビデオがあることに驚きました。さらにオランダではそれぞれの作業時間を項目ごとに把握しており、その合計時間は日本の作業時間よりもはるかに少ない時間でした。収量は日本の3〜4倍なのに作業時間は日本より少ないという矛盾に戸惑いましたが、内容を聞いて納得しました。しかも誰でもできることであったこと。そう感じたと同時にまだまだ日本でもやれていないことがたくさんあるなと感じ、期待感を覚えました。
 現在、誠和も生産者の方がこうした管理を実施するための支援ツールを開発中です。皆様が少しでも多く、早く取組んでもらい、成果を出していただけるお手伝いをさせていただければと思います。ぜひ私たちと一緒に切磋琢磨して日本の施設園芸をより多く世界に発信できるようにしていければと思います。これからもよろしくお願いします。

ページの先頭へ