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「バラ栽培セミナー」へのご参加 誠にありがとうございました

2017年11月17日

今春、新卒で入社した営業部の伊藤です。10月16日と10月20日に、世界中で活躍するオランダのバラ栽培専門コンサルタントのウィン・ファン・デア・エンデ氏を講師に招いて、バラ栽培セミナーを開催いたしました。東京と福岡の2会場で合計15名の方にご参加いただき、大好評のうちに終了いたしました。以下に、セミナーの講義内容の一部をご紹介いたします。

 

育苗・定植・仕立て方

■育苗について

・平均気温は22℃(日中の最高気温は25℃を超えない)で管理する。

・培地のpHが高いと苗質が悪くなるため注意する。ロックウールを培地として使用する場合は、苗を挿す前にpH4.8、EC1.5の養液で満たす。

・育苗開始後の3週間は湿度を高く(95%以上)維持する。推奨されているのは「苗を作っている空間を小さくする」という方法。オランダでは発泡スチロールの箱に苗を入れ、フィルムによって密閉して湿度を高くすることによって行う。この方法は葉に水滴が付かないため細霧装置で湿度を高める方法よりも適している。

・3週間経過後、密閉していたフィルムに小さな穴をあけ湿度を下げる。数日ごとに穴を大きくすることで徐々に湿度を下げる。

・育苗期間中、光が強くて日中の気温が25℃を越えてしまう場合には遮光する。

 

■定植の仕方

●栽植密度

・栽植密度は6~7.5株/m2(品種によって異なる)。分枝がまっすぐ上に伸びる品種は密度を高くし(7.5株/m2)、分枝が広がりやすい品種は密度を低く(6株/m2)する。

・受光量を最大化するために、株(ポット)同士を密接して定植せず、床面積に対して1株ずつ均等な面積を確保する。

・定植数年後からは6株/m2と7.5株/m2では収量に差は出ない。

・これを実現するには4列ガターシステムが最適

●ガターのレイアウト

・1つのベッドに4列のガターを配置する。通路とベッドを合わせた幅は2m。4列ガターの間隔は芯々で30cm-40cm-30cmの幅になるようにする。

・4列ガターを使うことで作業性が向上し、1往復で採花できる本数が増える。その結果1時間当たりの採花本数が30%増やせる。

・ハウス内の湿度ムラを緩和するため、ベッド下にダクトを設置して空気を動かすことが重要。

 

■仕立て方

最初のシュートをある程度まで成長したところで折り曲げ、ベーサルシュートを発生させ採花する。折り曲げのタイミングや方法については以下のようにする。

・最初のシュートに蕾が発生したらすぐに除去する。

・その後、側枝が発生する。側枝の葉が赤色から緑色に変わって来た頃に枝を折り曲げる。

・茎は「ホース」の役割を担っているため、折れてしまうと水が流れなくなってしまうため注意する。折り曲げ位置は根元付近から水平に倒す。

・最初のベーサルシュートの太さが今後の収量に大きく影響する。

・折り曲げた後は平均気温を下げる。育苗~折り曲げまでは22℃、その後は20℃~21℃で管理する。平均気温を下げる際には日中ではなく夜の温度を下げる。

 

かん水

蒸散とは?

・植物が根から吸水した水のうち1%が光合成で使用される。残りの10%は植物体内に残り90%は蒸散によって植物体外に出ていく。

・水分は水蒸気となって植物体から逃げていく(蒸散)。その際に気化熱によって植物体の熱を奪う。植物は体温の上昇を防ぐため、日射から得たエネルギー(熱)を蒸散によって相殺している。

・15℃の水を1kg蒸発させるには2674kJのエネルギーが必要になる。植物は2674kJの光エネルギーを得た場合には、15℃の水であれば1kgもの量を蒸散によって蒸発させることで、体温が上がらないようにしている。つまり2674kJの日射があった場合には1kgのかん水が必要になる(日射比例かん水)。

 

■かん水の量

基準となるのは以下の二つ。

①積算日射100J/cm2あたり300cc/m2のかん水が必要(排液率を30%~50%とした時)。これは先述した「植物は日射から得た熱を蒸散によって相殺している」ことから計算された数値である。

②日射量Wを積算日射Jに換算すると、1000W/m2の日射が1時間続いた時の積算日射は360J/cm2となる。

以上の二つのことから1000Wの日射が1時間続くと300cc×360J÷100=1080cc

1080cc/m2のかん水が必要となる。

また、薬散を行うと葉が濡れるため蒸散量は減少する。その場合は1日最後のかん水をとめる。

 

■排液

・曇雨天日でも1.5L/m2は排液を出す。これは培地にナトリウムなどを蓄積させないためである。

・最初のかん水はおよそ日の出2時間後とする。最後のかん水は日の入り5時間前とし、根に酸素を供給するために次の日の朝に向けて培地の水分率を10%程度下げる。

・ラッピングのロックウールを利用している場合は、排水を促すために底に均等に穴をあける。

・根は多湿状態が続くと呼吸ができないため酸素がある方に集まる。培地の多湿が続くと根が酸素を求めて培地の底の方に集まってしまうことがある。排水を促すことで避けることができる。

 

光と遮光

カーテン

・冬期にカーテンを使うと植物の成長は速くなる(植物体温が上がるため)。しかし樹が弱くなる(湿度が高くなる、光が減るため)。つまり、カーテンはできることなら開けておきたい。

・カーテンを利用した方が植物体温を高く維持することができる。これは植物体からの天空放射をカーテンによって留めることができるからである。

・カーテンを利用し始めたら暖房の設定気温を下げ、植物体温を使用前と同等にする。

・夏期は光の増加により光合成量は増えるが、同時にハウス内に入射する熱も増えてしまう。しかし遮光率の高いカーテン(50%)での遮光(遮熱)は、過度になりがちである。

・遮光(遮熱)をするかどうかの判断は、作物の光飽和点に基づいて行う。例えばバラでは750W、コチョウラン275Wである。光飽和点以上の光があっても光合成速度は増大しない。しかし熱線によって植物体温が上昇し呼吸による糖の消耗が増える。

・冷却能力(蒸散能力)の高い作物は光が強くても、蒸散により体温を下げることができるため、光をたくさん取り入れられる。冷却能力(蒸散能力)は作物の種類だけでなく、樹や葉の状態、生育ステージ、かん水、LAI等によっても変化する。

・エネルギー節減率の高いスクリーン=遮光率の高いスクリーンであるため、昼間に閉めておける時間が非常に少ない。一方、エネルギー節減率の低いカーテンは、遮光率が低いため昼間(特に日の出後)に閉めておける時間が比較的長い。

・年間を通して見ると両者のエネルギー節減率にはほとんど差がない。

 

塗布剤

・カーテンで遮光をしても温度が下がらない場合は屋根への塗布剤が有効である。カーテンは熱を閉じ込めてしまうが、塗布剤は熱をハウス内に入れないので「遮熱」という観点では非常に理にかなっている。

・塗布剤はカーテンと併用することが理想。両者とも30%以下の遮光率のものを使うことが好ましい。

・晴れたり曇ったりして日射量が急激に変化することは植物にとってストレスになる。カーテンの開閉による光の変化もストレスになる。

・屋根への塗布剤は光の急激な変化を和らげることができ、散乱光の資材を用いると良い。

・オランダのバラでは4月下旬あたりに20%程度の遮光+散乱光の塗布剤を塗ることを推奨している。

・塗布剤の使用により入射する光量は減少する。しかし、光が減ってしまうデメリットよりも、光の急な変化によるストレスを軽減できるメリットの方が大きい。

・植物が光ストレスを受けると、その影響は4時間程度残る。晴天日にストレスにより損出する光の量は非常に多い。栽培期間を通して見ると塗布剤を利用した方が植物にとっては最適な環境になる。

 

おわりに

今回はウィン氏を招いてバラ栽培における技術について講演させていただきました。講演会にご参加いただいた皆様は、最先端の手法や考え方など新鮮な情報を得られたのではないかと思います。今回の講演が、参加された皆様の新たな課題発見や、改善・調整をするきかっけとなれば幸いです。

誠和では、「バラ」だけでなく「トマト」や「キュウリ」等の作物別、また季節別の環境管理セミナーを今後も企画しております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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