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「冬に向けての環境管理セミナー」へのご参加 誠にありがとうございました

2017年12月13日

大阪営業所の小原です。10月30日から11月29日にかけ全8会場にて、弊社斉藤を講師に「冬に向けての環境管理セミナー」を開催致しました。全会場合計で507名の方が参加され大好評のうちに終了しました。多くの方のご参加ありがとうございました。

以下にセミナーの内容の一部を紹介いたします。

 

効率的なCO2施用

■冬の日射量が少ない時期に収量がとれない・品質が悪いと言い訳をする前に、できること、やるべきことを考える。

・カーテンを早く開けて光を多く取り入れる。
朝、カーテンを開けるタイミングは何か?日射量が100W~150Wあればハウス内温度は下がらない。
・光合成の最低適温を確保する
冬場の曇天時の日中は暖房をしないと13℃前後になる。この温度では光合成の最低適温に足りておらず、光合成が低下している。日中に積極的に暖房を行う。
・CO2を積極的に施用する
 低日射時に光合成を高める唯一の環境要因

 

■CO2施用の基本的な考え方

・まず測定器(プロファインダー)のCO2センサーは必ず定期的に校正を行う。
・光合成に対するCO2の関係
 ①光が強くなれば光合成が増大
 ②CO2濃度が高くなれば光合成が増大
 ③光が強ければ最適CO2濃度も高くなる
・つまりCO2を積極的に施用するのは光が強い晴天日の正午前後。
・光合成はCO2濃度が高くなるほど増大する。しかし750ppmと1000ppmでは大きな差がないので実際の管理は高くても700ppmで十分。
・CO2施用では濃度(ppm)も重要だが量(kg/10a/時間)も重要。最適葉面積のトマトでは最低3kg/10a/時間、好適環境では6kg/10a/時間のCO2を吸収する。

 

■CO2の発生源

・CO2の発生量は、灯油は2.5kg/リットル、プロパンガスは3.0kg/kg。
・10aのハウスで6kg/10a/hを一日当たり6時間施用すると、灯油14.4リットル、プロパンガス12kg、生ガス36kgを使用することになる。
・灯油を使用する場合は、1週間で10aあたり100リットル使用することになる。
・自身の施用量と比較する。CO2施用をして効果がない人は、一日あたりの施用量が足りていない。

 

■濃度管理と量管理の考え方

・換気窓が開く時期は量管理(最低3kg/10a/時間)、比較的閉まる時間が長い時期は濃度管理(400ppm以上)を行うのが簡単かつ効率的

 

■好ましくないCO2施用事例

①日の出前から換気窓が開くまでの高濃度施用。昼間には施用しない。一番多いパターン
②夜間に発生したCO2濃度を保つため、換気窓を開けない。結果午前中の温度が高すぎて呼吸消耗が多くなる。CO2だけ最適化してもダメ。全体(温度、湿度、CO2、水)を最適化する。
③天窓を通じた外気から流入するCO2をあてにする。昼間に積極的に換気するため、日中の温度が低くなる。外気からのCO2供給では足りない。ハウス内温度が低くなることで発育速度の低下、転流速度が低下する。
④春の日射が強くなってきた時期に、カーテン(50%遮光)を閉め、気温を低くしてCO2濃度を高く管理使用とするパターン。光が足りなくなる。CO2が十分あっても光が不足。

 

■CO2施用の効果がない原因

①そもそも施用している量が足りていない
・濃度だけでなく、1時間当たりの施用量(kg)を把握する。
・CO2が必要なのは昼間。朝だけの施用では足りない。
②収穫対象部位(果実)へ糖が転流していない
・葉ばっかりできている、温度管理の見直し。糖は温度の高い部位に移行しやすい。
③光合成とその後の過程に必要な原料が不足している。(水、肥料)

 

風と空気流動

■風が必要な理由

・密閉されたハウス内は無風
・葉面境界層を打破して葉の表面に積極的にCO2を供給する
・葉面に乾燥した空気を送り葉面湿度を下げ蒸散を促す。病害発生予防にもなる。
・温度ムラの解消。ハウス内では垂直方向と水平方向で温度ムラが出やすい。

 

■大事なのは空気を動かすこと(空気流動)

・風速は重要ではない
・循環扇の配置は空気の動かし方を考えて配置する。
・換気窓とカーテンが閉まっているときは必ず循環扇を動作させる。
・循環扇は一定間隔で動作と停止を繰り返すことで、ハウス内の温度ムラをさらに減らすことができる。

 

吸水と根圧

■根圧とは何か

・浸透圧とは濃度が異なる溶液が接したときに均等化しようとして濃度の高い溶液に水が流れ込む力のこと。植物に当てはめると植物細胞内のほうが土壌より多くの肥料を含んでいるため水を引っ張る。この原理で吸水している。
・根が浸透圧の差を利用して水を吸収する力のことを根圧という。
・根圧が高い=吸水量が多い、根圧が低い=吸水量が少ない

 

■1日での根圧の動き

・日中は培地とかん水の濃度差が小さく、根圧が高く、吸水量が多い。特にかん水ECが低いと吸水量が多くなる。夜間は培地内水分率が低くなり、培地内ECが高いため、根圧が低く吸水量は少ない。日の出直後から最初のかん水までは培地内ECが最も高くなり、根圧が高く吸水量も多い。ミニトマト等で最初のかん水後に裂果が発生する原因。

 

■根圧の良い面、悪い面

良い面
・より大きな細胞肥大と細胞伸長により、大きく重い果実や大きな葉が作られる。
悪い面
・細胞壁が弱くなる。葉の水分が多くなり病気の原因となる。果実の水分が多いことでの品質低下へと繋がる。

 

■根圧と生理障害

①葉水:吸水した水が水孔から漏れている
②裂果:吸水した水が果実に多く流入
③銀粉果:根圧が高く、果実に吸収したカルシウムが流入してできる
④尻腐れ果:根圧が低く、果実にカルシウムが流入していない
⑤葉の斑点:根圧が高く過度に吸水して葉のクロロフィルが破損している
⑥着色ムラ:初春に不適切なかん水により根圧が高く過度の吸水により果実の細胞が破損
銀粉果と尻腐れ果は同時には発生し得ない。吸収される水と蒸散される水、かん水量と時間、LAIと空中湿度の全体的なバランスを考えて管理する。

 

■かん水による生育制御

・冬:蒸散量より吸水量が多く葉が大きくなる→栄養成長
①蒸散を促す
②根圧を下げる(ECを上げる)
③かん水を減らす
・春、夏:吸水量より蒸散量が多く葉は小さくなる→生殖成長
①かん水量を増やす 
②根圧を上げる(ECを下げる)
③蒸散を抑制する
①~③の順番で行う。①、②の条件が出来ていないと③を実施しても効果がない。

 

おわりに

講演の中で、「カーテンは○月に閉め始めるからもう閉めないと」、「いつも暖房機は○月に使い始めるからまだ早いかな」という考えはもう通用しない、という話が印象的でした。今年の8月は関東地方では20日以上雨続きとなるなど異常気象が当たり前のように起きています。施設栽培では環境を自分で制御することで対策をとることができます。暦から管理を決定するのではなく、環境を測定しながら対応していきましょう。
今回のセミナーから、皆様の対策や戦略を一つでも増やし、より良い結果へと結びつけば幸いです。これからも引き続き、皆様が栽培を考えていく上でのお手伝いとなるセミナーを企画して参りますので、よろしくお願い致します。

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