オススメ製品 Recommend

「実践的な冬に向けての環境管理セミナー」へのご参加 誠にありがとうございました

2020年01月21日

大阪営業所の松下です。11月5日から12月6日にかけ、北は福島県から南は宮崎県まで全9会場にて「実践的な冬に向けての環境管理セミナー」を開催いたしました。合計379名の方にご参加いただき、大好評のうちに終了しました。今年も多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。今回は、冬季の管理を中心に以下のような章立てにて行わせていただきました。

① ハウス内環境測定の基本

② 温度に対する植物の反応

③ 冬季の成長を最大化させる温度管理

④ なぜスタディークラブが必要なのか?

上記の内容について簡単にご紹介させていただきます。

 

【①ハウス内環境測定の基本】

・通風有りと無しの間には晴天日で約3℃程度の温度差が出る。そのため、測定にあたっては通風式が正確

・センサーは植物体に近いところに設置する。その理由は気温を植物体の温度の代わりにしているため

・センサーは換気窓やカーテンが開閉した際に冷気を受けないハウス中央付近に設置する

・日射の測定は必ずハウス外で行うこと。設置場所は南面の最も高い部分が最適

・日射センサーの設置がハウス内では不適切な理由

 1.ハウス内では個葉の日射測定となってしまうため

 2.ハウス内では構造物の影を拾ってしまい、ハウス全面としての評価ができない

 3.ハウスの光透過率は約50~70%。これを群落の受ける光として考える

 4.ハウス内で光を測定するにはPAR(光合成有効放射)センサーが必要

・生育調査や根の調査はハウス内環境測定器の近くの植物で行う

 

【②温度に対する植物の反応】

■平均気温

・日々の管理で植物の温度反応を理解する上で重要な単位
・植物は長時間の平均気温に反応している。そのため、平均気温は72時間(3日分)を確認する
・日射量に対して平均気温が高いと生殖成長、低いと栄養成長になる
・晴天日には高め、曇天日には低めの管理が必要
・昼夜温較差(DIF)は節間長や栄養・生殖のバランスに影響するが、それだけで制御はできない

 

■積算気温

・日平均気温を積算したもので新しい葉の展開や花の発生がどのくらいかかるかの指標になる
 例:トマト果実の成熟 約1000℃、イチゴの新葉展開 約150℃、など

 

■植物生育と温度の関係

・温度は植物の様々な過程に影響する
・光合成は緑色の葉で行われ、呼吸は老化した葉でも行われる
・同化産物(糖)の60~80%が果実へ転流する。栄養成長と生殖成長はこの糖の流れる割合のことを言う
・糖に水と肥料が加わり、新しい器官を作る。そのため植物栽培では、光合成→呼吸→転流→肥料の順に重要
・日射に応じて温度を変える必要がある。晴天日には午後の温度を高め、曇雨天日には前夜半を下げる
・各時間帯の温度管理が適切だったのかは植物体を観察することによって判断できる。トマトでは次のように判断する

 1.午後~夕方の温度が足りないと中下葉が巻き、足りていれば成長点付近の葉が巻く

 2.夜間温度については翌朝の成長点付近の葉色を確認することで判断できる。濃すぎる場合は低い、薄すぎる場合には高い、少々淡い程度が最適

 

■成長と発育について

・成長と発育を混同している人が非常に多いので、切り分けて理解する必要がある。またこの2つに相関関係は無い
・成長:乾物重、生体重、葉面積の増大等。これには「光合成」が影響する
・発育:花や葉などの新しい器官が発生すること。これには「温度」が影響する
・温度が光合成に影響するのはLAIが低い生育初期。なぜなら葉の展開速度が光合成量に影響するから。通常、管理温度が生育初期>収穫期なのはこのため
・CO2を施与している場合は温度を高めに管理することで品質を低下させずに葉や花の展開速度(発育)を上げられる
・冬季の日中、外被材に散乱光フィルムを使用している場合は植物体温度が低下するので気温を高く管理した方が良い
・地温は日平均気温に影響される。3月の萎れは2月の低温期に平均気温が下がり、地温が上がらず根の活性が下がるため。その結果、換気が始まる3月の蒸散量に追い付かなくなる
・2月と10月の日射量はほとんど変わらないので2月の平均気温は高めに管理すべき

・結論として、温度を管理するためには必然的に植物の観察が必要になる。植物を見た上で温度管理するべき

 

【③冬季の成長を最大化させる温度管理】

■エネルギー効率を考える

・石油は安いわけではないが、費用対効果が高いエネルギー
・ハウスの軒高が高くなると暖房代は増える。しかし、その量は微々たるもの(15%程度)。むしろ体積が増えること(60%増)によるハウス内環境の安定性の方が効果は高い
・暖房費はハウスの体積ではなくハウスの表面積に依存する
・冬季に「曇天日が多いから・・・」は言い訳。目標温度を必ず決める。日射量不足による日中温度の低下を避け、暖房を行う

 

■日の出時の光合成適温確保

・作物には必ず光合成の適温がある。例:イチゴ 15℃~、トマト 17℃~、キュウリ18℃~
・日の出時に光合成の適温まで上げる
・日の出前後のハウス内温度上昇は必ず2℃/時間に収める
・暖房機の選定はカーテンが閉まっている状態ではなく、カーテンを開けた状態で外気より目標温度上昇できるものを選ぶ
・カーテンは日の出後もなるべく閉められるラクソスがお勧め。カーテンは破れてからではなく汚れたら張り替える。

 

■曇天日の日中気温確保

・低温期に曇天日が数日続くと収量が低下する大きな理由は光が少ないことと、日中気温が光合成適温に達していないため
・曇天日の目標温度を暖房設定温度にする。トマトなら最低は18℃、午後は20℃まで上げる。これは光合成適温<転流適温のため

 

■結論

1.なりゆきの温度管理はダメ、目標温度を決める。暖房は昼間にするもの。家もハウスも同じこと
2.冬季~春先の不良果は花粉不良と受粉不良。これは低温や過湿が原因
3.暖房機は通常の1.5~2倍量必要。カーテンも光透過率の良い保温カーテンを利用する

 

【④なぜスタディークラブが必要なのか?】

・農業は年1作の場合、1年で1度の経験しかできない。だから農業は経験が必要と言われる
・環境測定や生育調査によって数値化した事実に基づいて話をすることにより、感覚やセンスに頼らない具体的な話ができる
・人と話をしたときに得られる情報は利用価値が高いため。まずはコミュニティーに参加することから始める(ここで言うコミュニティーとは、“目的を同じくする同志”の集まり)
・作物や年齢、物理的距離は関係なく、生産者主体で行うことが大切である
・実施にあたりポイントとなる部分は以下の通り
 1. 人数は5名程度で全員参加型とする
 2. 定期的に実施すること。忙しいから今月はやらないというのはダメ
 3. 実施時間を明確にする(例:1時間/件×件数等)
 4. 必ず数字に基づいた具体的な話をする。抽象的な話は妨げになる
 5. 時には厳しく、適切な助言をし合う。仲良しクラブではダメ
 6. 情報は隠さない。重要なのは意見交換
 7. マンネリ化を防ぐために外部の意見を取り入れる(他のスタディークラブとの交流、グループコンサルタントを受ける)

 

 

 

おわりに

弊社では毎年10~11月にかけて冬に向けての環境管理セミナーを開催させていただいております。厳寒期に入り、低日照条件下での栽培が始まる前に環境管理のポイントをお話させていただいております。冬は収量・品質が低下してしまうという経験は誰もがされているかと思いますが、その要因として光環境はもちろんのこと、温度も重要であることをお話させていただきました。ただ闇雲に温度を管理するのではなく、光合成や転流の適温を意識しながら植物体を観察し、平均気温での管理がポイントとなります。皆様からのアンケートを拝見させていただき、その部分はしっかりと印象に残っていたのではないかと感じています。

これからも引き続き、実践→成果に結び付くことができるような情報をご提供するため、勉強会・セミナーをはじめ様々なイベントを開催していきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

ページの先頭へ