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「養液栽培セミナー」へのご参加 誠にありがとうございました

2018年10月19日

高知営業所の吉田です。9月10日から9月21日にかけ、株式会社デルフィージャパン 斉藤氏を講師に「地下部環境制御 わかっているようでわかっていない養液栽培のきほん」と題して養液栽培セミナーを開催致しました。熊本、高知、静岡、愛知、栃木の5会場で計293名の方にご参加頂き、大好評のうちに終了致しました。多くの方のご参加、誠にありがとうございました。以下に、セミナーの講義内容の一部を簡単にご紹介させて頂きます。

 

養液栽培とは

■土耕栽培との違い

・土耕栽培と養液栽培は全くの別物
・緻密な管理が必要
土耕より細かな管理が必要だが、最適範囲に収めることができたときは最大の能力が発揮される。適正な管理が行われないと、むしろ土耕より収量が低くなる
・緻密な管理ができる
理想とする環境を明確にしておく必要があり、そのためには基礎知識が必要

 

■知識不足のまま養液栽培を始めると…

・養液栽培の本来の能力が発揮されない。土耕より収量が増えず、設備費、ランニングコストが高いという話に…
・地下部環境だけで問題が解決できると思ってしまう。地上部環境がおざなりになるので関連付けて考えるべき

 

■問題は養液栽培の基礎を理解していないこと

・排液を測定していない(測定できるシステムになっていない)
・ECとは、pHとは、排液率とは…を理解していない、測定していない
・各用語を理解し、各項目を数値化する必要がある。地上部の管理と同じで、数値化しないと話ができない。

 

植物にとっての水

■植物は水でできている

・植物体の90%は水
・10%は乾物(さらに乾物の92%は有機物、8%が無機物(肥料))

 

■植物が水を必要とする理由

・蒸散による気化熱で植物体を冷やす
・光合成の原料
・肥料の輸送
・植物のかたさに関わる(膨圧に影響する)

 

■植物体内での水の利用

・根からの吸水を100%とすると、
・蒸散に90%、膨圧に9%、光合成に1%使っている

 

植物の吸水方法

■植物はどのように水を取り込むのか?

・根から取り込まれる
・蒸散の結果、水は取り込まれる(浸透圧で取り込まれる) →地上部管理との関連づけが重要

 

■根の役割

・養水分の吸収
・植物を支える
・健全な根は健全な植物のために必要不可欠

 

■根の種類

・太い根(主根)
水と肥料の通り道
酸素が十分でない過湿のときに増える
・細い根(側根、分岐根、細根)
養水分の吸収が盛ん
十分な酸素があるときに増える
・目では確認できない根(根毛)
根の表面積を増やし、養水分の吸収能力を高める
数日〜数週間で更新される

 

■根を観察する

・最低でも週1回「定点観測」する
・地上部の葉や花、茎は作業中など日常的に見られるが、根は行動を起こさないと見えない

 

■観察すること

・根の量
・根の色
・根の分布域

 

■植物の吸水の動力は浸透圧
・浸透圧とは、細胞が水を引っ張る力。濃度を均等にしようとするはたらき
・水は薄い溶液から濃い溶液に移動する
・濃い溶液=浸透圧が高い

 

■実際の植物では…

・蒸散により細胞が水分を失い、細胞内の濃度が高まる
・培地より植物体の浸透圧が高くなる
・根から植物体に水が入ってくる

 

■受動的吸水と能動的吸水

・受動的吸水: 蒸散による吸水、日中のはたらき
・能動的吸水 :蒸散の結果生じる浸透圧による吸水、夕方や夜間のはたらき
・能動的吸水にはエネルギーが必要で、そのエネルギーは根の呼吸から得ている
・酸素の入手先はほとんどが大気なので、培地中に酸素(気相)がなければ根は呼吸できない。かん水管理で調整できる、かん水管理の重要性

 

■根圧

・根が浸透圧の差を利用して水を吸収する力。根から地上部へ水を押し上げる力
・根圧が高い:吸水量が多い
・根圧が低い: 吸水量が少ない

 

■根圧は高い方が良いのか?

・根圧が高いことのメリットはより大きな細胞肥大、細胞伸長。つまり大きい果実、葉ができること
・だが、高すぎる根圧は過度な吸水を招き、裂果、尻腐れ、果頂褐変果などの果実品質低下にもつながる
・高い根圧は急に下げられないので、高すぎない管理を心掛ける

 

■かん水による栄養成長、生殖成長の制御

・例えば冬、栄養成長に傾いている場合は以下の順で制御することができる
①蒸散を促す(地上部管理)
②かん水ECを上げることで根圧を下げる
③かん水量を減らす
・しかし多くの人が逆の順番で行なってしまいがち…

 

把握するべき数字と測定方法

■かん水量、排液量、排液率

・例えば、100リットルかん水したときの余剰分(排液)が30リットルだったとすると…
・排液率は30%(30÷100×100)
・排液率=排液量÷かん水量×100

 

■排液率を把握するには

①かん水量を測定
②排液を回収
③排液量を測定する

 

■そもそも排液はなぜ必要?

・場所によるかん水や植物の吸水のムラをなくし、均一な生育をさせることで、収量・品質の向上させ、栽培管理の簡素化を図る
・目標値に対する排液率を毎日確認する

 

■培地の特性を理解する

・三相分布(固相、液相、気相)の割合による培地の特性を理解しておくと良い
・ロックウールであれば液相が多く保水性が良いが排水性もよい。つまり水分量の制御がしやすい

 

■培地の最大容水量、最大水分率

・最大容水量 : 培地が保持できる最大の水量
・最大水分率 : 培地が含むことのできる最大の水分率、最大容水量÷培地体積×100、一般的なロックウールやヤシガラは約80%

 

pHとEC管理

■pHとは

・水素イオンの濃度
・作物の肥料吸収に影響するため、養液栽培では非常に重要
・pHが高い→アルカリ性
・pHが低い→酸性
・通常、かん水する養液に酸を加えることでpHを下げて調整する
・高pH:肥料分の沈殿が発生しホースの目詰まりを起こす。また、鉄、マンガン、ホウ素などの吸収が悪くなる
・低pH:ロックウールの糊が溶け、根が焼ける。また、カリウム、モリブデン、カルシウムの吸収が悪くなる

 

■排液のpHを測定する

・例えば、かん水pH5.5のとき
・排液pH7.0(排液pHが上昇)→通常の状態
・排液pH5.0(排液pHが低下)→あまりならない状態。着果負担が大きい、成長点が弱い、根の傷みなどが考えられる。原因として培地の過湿が考えられる
・排液の高pHは問題ない。むしろ根が健全なはたらきをしている結果

 

■ECとは

・電気伝導度
・培養液管理において欠かせない単位で、生育制御の目安となる
・かん水ECが高い→肥料分が多い→品質向上(生殖成長)
・かん水ECが低い→肥料分が少ない→収量向上(栄養成長)
・培地内ECが高い→根が吸水しにくい→葉が小さくなる(生殖成長)
・培地内ECが低い→根が吸水しやすい→葉が大きくなる(栄養成長)

 

かん水管理

■かん水方法の基本

・日射量に応じてかん水
・1MJあたり250リットル/10aが基本
・何時にかん水を終了するかが重要→夜間の培地水分率に影響するため
・かん水終了が遅く、夜間の培地水分率が高いと根に酸素が十分量供給されず呼吸を妨げる。能動的吸水ができなくなる
・夜間の培地水分率が目標通り下がっているかは、「翌朝、何回目のかん水で排液が出るか」で確認できる

 

■地下部管理による生育制御

・高度に環境制御されたハウス内の植物は栄養成長に傾きやすい
・生殖成長に傾けるには、①地上部管理 ②地下部管理 ③植物体管理 の順番に行う
・基本的には地上部管理が最優先だが、ハウスが開け放たれている春〜夏は、地下部管理の優先度が上がる
・ただし、根が健全であり各要素が数値化されていることが前提となる。地上部管理と同じ

 

 

おわりに

今回は初めての「養液栽培」に関するセミナーとなりました。ご参加頂いた皆様、いかがだったでしょうか?
養液栽培をされている方もいれば、土耕栽培の方も多く見受けられました。栽培方式の違いはあれど、今までの養液栽培を見直すためや土耕栽培へのヒントを得るためなど、どなたも真剣に聞かれていました。
そんな後ろ姿を会場後方から拝見させて頂き、皆様の熱意を改めて感じる一日となりました。今後とも、より良いセミナーにしていけるよう取り組んで参ります。皆様の「熱意」とこのような「情報共有の場」、日々取り組まれている「環境制御」をもとに、皆様にも作物に負けないくらい“光合成”をして頂き、ステップアップへの活力として頂けたら幸いです。

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