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2017年 『オランダに学ぶ「強い施設園芸」講演会』へのご参加誠にありがとうございました

2017年09月12日

はじめに

  豊橋営業所の里内です。8月25日から8月29日にかけての3日間、オランダよりワーヘニンゲン大学のエぺ・フゥーヴェリンク博士とデルフィージャパンの代表取締役であるアード・ファン・デン・ベルグ氏を招いて、オランダに学ぶ「強い施設園芸」と題した講演会を開催いたしました。東京、愛知、熊本の3会場で合計233名の方にご参加いただき、大好評のうちに終了しました。
以下に、セミナーの講義内容の一部を簡単にご紹介いたします。
 
写真1
 
 
 

 エペ・フーヴェリンク博士 「グリーンハウスの環境と作物の成長」

<作物生理の概要>
■光受光と葉面積指数
・同化産物の生産と利用バランスが最も重要であり、発育(温度)と成長(光、CO2)で制御できる。
・葉面積指数(LAI)が大きくなるほど受光できる割合は増加する。同じLAIでも吸光係数が小さい(葉が立っている)条件では群落下部まで光が届き、群落光合成が増大する。
・面積当たりの総乾物重は栽植密度を変化させても、栽培後半の増加速度はいずれの処理区もLAIが十分なため(高い光受光割合)変わらず、群落あたりの光合成量は同じである。しかし栽培初期はLAIが十分ではないため(低い光受光割合)栽植密度を増やした方が群落あたりの総乾物生産(光合成量)は増加する。
・栽植密度を高めるシステムはこれらのことを考慮して検討する。つまり定植本数を2倍にしても収量は2倍にはならない。
■光合成
・気孔は葉と空気間のCO2と水蒸気の出入り口である。光によって開き、高飽差、高CO2、低温、高温によって閉まる。
・葉は受ける光強度により2種類ある。光補償点と光飽和点が強い光となる「陽葉」と、光補償点と光飽和点が弱い光となる「陰葉」がある。葉は光の強さに順化する。
・受光量と乾物生産には直線的関係があり、この傾きを光利用効率と呼ぶ。栽植密度や補光の有無を変化させても光利用効率は変化しない。例えばCO2濃度を高めると光利用効率は高くなる
■収量構成要素
・収量構成分析は品種やハウス条件等での収量の違いを説明・理解するために有効な手法である。
・オランダでの収量は1980年代から現在まで年々増加している(キュウリは0.87kg/年、トマトは1.0kg/年、パプリカは0.47kg/年)。
・収量増加の理由にはグリーンハウスの技術、栽培技術、環境制御、遺伝子の向上があげられる。
・古い品種と比較して最新の品種の方が多収となるのは個葉光合成速度と群落吸光係数が向上したことが要因である。過去30年間でトマト収量は2倍となったが、品種改良が20~25%貢献している。
 
 
<環境要因の役割>
■光
・光合成有効放射(PAR)は太陽光の約50%であり、グリーンハウスにはその約70%が透過する。これから群落上部にどのくらいのPARが到達しているかが計算できる。
・オランダでの経験則として1%の光の減少は1%の収量減を引き起こすとされている。光が1%減るとキュウリ、トマト、バラといった作物では確かに1%程度収量が減少するが、キクやポインセチアでは収量の減少は1%未満であった。
・光は陰性植物もしくは温度が高くなりすぎる場合を除いて多すぎることはない。春や秋に日射量が強い一定の時間だけ遮光をする場合は、1%光が減少しても収量低下は1%未満となる。
・冬期低日射期の補光は、作物の収量増、品質の向上、周年生産を可能にする。
・高圧ナトリウムランプに比べ、発光ダイオード(LED)は放射熱が少ないため樹間補光に適している。LEDは光の色(波長)を制御できるため、鉢物植物の伸長制御にも応用できる可能性がある。
・オランダでは散乱ガラスの開発が進んでいる。反射防止剤を使用することで、透明ガラスの光透過率を維持したままグリーンハウス内の光を散乱させることができる。散乱光は総光量が変わらなければ、直達光に比べ作物収量が5~10%向上させることができる。
■温度
・DIF(昼夜温差)はキクの最終節間長に影響する。マイナスのDIFは節間伸長を抑制する。DIFが同じ場合は昼温と夜温が変化しても節間長は変わらない。
・作物は正確な温度管理ではなく長期間の平均気温に反応する。設定値よりも夜温を下げ(暖房を減らす)、昼温を高くする(換気窓の開が少ない=CO2施用が効果的)ことで、通常の温度管理よりも天然ガスの使用量を減らし、同じ収量をもたらした。
■オランダでの技術革新
・オランダでは研究機関での成果の多くが生産者に積極的に利用されている。それは政府、研究と教育、企業とがゴールデントライアングルを形成しているためである。
・オランダでの研究開発プロジェクトには政府からの投資だけではなく、企業が必ず関わる。
・企業が出資するプロジェクト費は15~75%で変化する。多くの場合は75%で、長期で基礎的なものは15%となる。
 
 

 アード・ファン・デン・ベルグ氏「次世代園芸~園芸は生産者の知識と技術の成長により次世代に達する~」

■デルフィージャパンは知識パートナー
・デルフィーは、世界中で活動する食と花の生産知識を提供する独立型のコンサルタント会社である。オランダのインプルーブメントセンターでの試験や国境を越えた知識の共有等により知識開発と知識実証を行っている。
■世界では何が起きているか?
・ビジネスを考えたとき社会の同行を把握する必要がある。
・世界人口の増加、富裕層の増加、食糧需要の増加、食の品質と安全性への関心増加、都市化、農業の高齢化、が起きており農業もその影響を受けている。
■日本での農業の現状
・日本の生産者は小規模もしくは収入が少ないため、投資のための資金不足が理由で新しいことに挑戦する次世代生産者が少ない。日本の発展には、規模拡大のための大規模区画整備、法人化、興味ある若い世代の管理者育成が役立つ。
■次世代グリーンハウス、次世代栽培、次世代知識
・規模拡大、技術と情報によって園芸は発展している。データを活用し、労務とエネルギー効率を高めた次世代の栽培方法に向けて挑戦していく必要がある。
・次世代のグリーンハウスは作物管理において判断すべき項目が多い。そのためデータや情報を収集・分析し栽培管理に反映する知識と技術が必要となる。
・オランダでは民間コンサルタントによる有料の情報提供により、生産者の知識と技術だけでなくコンサルタント自身も成長している。
・次世代グリーンハウスの成功は次世代の栽培技術と知識を必要とする。コンサルタントも含め人は必ず間違えをすることがある。最高の生産者とは最も間違いが少ない人のことだ。
 
 

おわりに

  今回はオランダより講師をお招きし、次世代に向けた内容となりましたがいかがでしょうか。講演会にご参加いただいた皆様には、オランダの最先端の研究や日本との違いを実感いただけたかと思います。今回のセミナーが現状の振り返りと今後の展望に繋がれば幸いです。これからも皆様に新しい知識や情報を提供できるセミナーを企画していきます。今後も宜しくお願い致します。
 

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