オススメ製品 Recommend

2017年 「実践的な春に向けての環境管理セミナー」へのご参加ありがとうございました

2017年03月31日

はじめに

 仙台営業所の中野です。2月28日から3月24日にかけて全国8ヶ所で、春の環境管理のポイントについて実践的な内容の講演が行われました。全会場で合計約420名の方にご参加いただき大好評のうちに終了しました。以下に講義内容の一部をご紹介させていただきます。

 

実践的な春に向けての環境管理セミナー

 

以下に、セミナーの講義内容の一部を簡単にご紹介いたします。

 

 転流と分配について

・光合成により葉でつくられた糖(同化産物)は他の部位に転流する必要がある
・果菜類での重要な転流部位は果実で、糖の60%~80%が果実に転流する
・栽培期間を平均すると、シンク容量>ソース容量となり自然落花や流れ果につながる
・分配に影響する環境要因は温度で、光、CO2、湿度は直接的には影響しない
・シンクの糖を引く力をシンク強度と呼ぶ=1日あたりの成長量
・糖の分配の優先順位は生育ステージによって変化する。トマトの場合、収穫期は果実、着果期前は根に優先的
 に分配される
・植物に十分なシンク(果実数)がない場合、余剰な糖は茎や根に送られるので栄養成長に向かう
・植物は光合成と同時に転流をしている
・転流速度は平均1m/時でかなり早い
・ソース強度(糖の生産能力=光合成)は糖の分配に対して直接影響しない
・糖の分配に距離は影響を受けず、活性の高い果実へ多く流入する
・これらを十分に理解したうえで、栄養成長・生殖成長のバランスを最適化する
・糖の分配に最も影響するのは温度よりもシンク数。果実数が多いと果実への分配が多くなる

 

 かん水について 

■植物が水を必要とする理由
 ①光合成の原料
 ②植物体の冷却
 ③肥料の輸送
 ④膨圧に影響
・水は葉の重量の約90%を占める
・植物は1gの糖を作るのに500gの水を使う
・蒸散から吸水までの水の流れのバランスが少しでも崩れると水不足や生理障害になる
・春の日の植物の蒸散量は1時間に約400L/10aとなり、葉は保持している水を約2時間で全て交換する
・太陽光から葉に届く熱の約50%は蒸散により損失する
・肥料は根から水を吸収する流れによって植物体内に運ばれる
・健全な根は健全な植物のために必要不可欠
 
■冬から春の変わり目の時期に根量が少なくなっている人が多い
 ①過湿による根腐れ
 ②光合成量の低下、着果負担増加による根への糖分配量の低下
・根を定期的に観察する。地上部は観察をしているが根を観察しない人が多い
・葉面積と根量は比例する。一度に多くの摘葉をすると光合成量が低下し、根への糖分配量が減る
 
■根の種類を確認する
・根は2種類あり、養水分吸収が盛んな細い根が多くあるかを確認する
 ①太い根 過湿のときに増える(酸欠)
 ②細い根 十分に酸素があるときに増える
 
■かん水量の決定方法
・かん水を増やす前提条件は光合成を増大させ、糖がたくさん作られた状態であること
・かん水量は日射量を基準に決定する。
・日射量と現在のかん水量の把握は必須(1日、面積あたり、何リットルかん水しているか)
・基準値なしにかん水量を決定すると問題が発生する
・かん水方法は少量多頻度
・土壌水分計やpFメーターの数値でかん水有無の判断は不適切(過湿の判断には有効)
・根の分布量に応じたかん水をする
・多くの栄養分に起因する問題は肥料ではなく、栽培環境、かん水方法、pHを改善することで解決ができる
・プロファインダーでは日射センサーを用いることで積算日射量を測定できる
・積算日射量1MJ/m2=250L/10aを基準にかん水量を算出する
・晴天日で見た場合、3月上旬の日射量はおおよそ1月上旬の2倍となるのでかん水量も2倍となる
・春先の収量低下や伸び悩みはかん水量不足が原因なことが多い
・植物の状態をよく観察し、季節によりかん水の基準量を増減させる。冬は少なく、春から初夏は多くする
 
■かん水による生育制御
・蒸散<吸水 葉は大きくなる(冬の環境)
 蒸散を促す⇒根圧を下げる(ECを上げる)⇒かん水量を減らす
・蒸散>吸水 葉は小さくなる(春・夏の環境)
 かん水量を増やす⇒根圧を上

 

 カーテンと光の関係 

■施設園芸でのカーテンとは
・そもそもハウスにカーテン装置はない方がいい(影の増加、湿度の上昇、導入経費、維持経費)
・カーテンに求められていること
 機能面 (保温、遮光、遮熱、日長制御、光害防止)
 性能面 (保温性、遮光性、遮熱性、収束性、透湿性、耐久性、低収縮性、軽量)
・全てに対応したカーテンはなかなかない
 
■直達光と散乱光
・太陽からの光には2種類ある(晴天日:直達光80%・散乱光20%、曇天日:散乱光100%)
・強日射時には散乱光を利用することで、植物上部の光飽和点に近い葉が受ける光を減少させ、植物下部の葉が
 受ける光を増加させることができる。群落光合成の増加
・多くのプラスチック素材の光散乱資材の特徴
 ①入射角度0°の光透過率は透明資材と変わらない、もしくは良いものがある
 ②入射角度30~70°の光透過率は透明資材より低下するものがほとんど
・光散乱資材透過後の散乱光の3次元的な広がりは資材により異なる
 
■各場面や条件でのLSスクリーンの推奨組合せの紹介
・省エネよりも高収量、高品質を目指すためのカーテンフィルムの選択と組合せ
 例1:光重視/暑さ対策(上層:ハーモニー3345、下層:ラクソス1243D)
    夏の定植後の高温対策や、春から夏の収量増加を狙いたい方
 例2:暑さ対策(上層:ハーモニー4215O、下層:ラクソス1243D)
    夏の定植後の高温対策や、春から夏の収量増加を狙いたい方
 例3:光重視(上層:ラクソス1547DFR、下層:ラクソス1347FR)
    遮光をほとんど必要とせず、光を多く植物に届けたい方、実は最も高い省エネを可能にする組合せ
・LSスクリーンの種類は準常備品を含めると約20種類。2層カーテン導入ハウスでは組合せにより数百パターン
 ある。最適な組合せ方法は、作物、地域や導入目的により異なる

 

 おわりに 

 講演の中で「今作は環境制御をしている人にとっては作りやすい年だ」という話がありましたが、皆様にとってはいかがでしょうか。その真意と理由に関しては、今回の受講者の皆様には納得していただけたかと思います。また、その上で今回のセミナーが、どんな意図を持って管理へと繋げていけば良いのかの手がかりになれば幸いです。これからも私たちは、皆様の栽培管理が良い成果に結びつくようなセミナーを企画していきます。これからもよろしくお願い致します。

ページの先頭へ