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2016年 「実践的な冬に向けての環境管理セミナー」へのご参加ありがとうございました

2016年12月01日

 はじめに

高知営業所の若菜です。10月24日から12月1日の間に全国9ヶ所で、弊社斉藤を講師に“実践的な冬に向けての環境管理セミナー”を開催致しました。全会場合計で約450名の方に参加いただき、大好評のうちに終了しました。

 

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以下に講義の内容の一部を紹介させていただきます。

 

 温度について

■温度と生育過程の反応

・温度は気温で評価されるが、条件により気温と植物体温には3~5℃の差がある。

・光合成:温度の影響は限定的。

・呼吸:温度と直線的な関係。温度が10℃上昇すると呼吸は約2倍になる。

・光合成‐呼吸=成長。ある温度において呼吸を変化させずに光合成を増大させる環境要因はCO2と光しかない。

・転流:高温で促進される。光合成でできた糖は植物体内の温度の高い部位に移行しやすい。

・糖に水と肥料が加わり新しい器官をつくる。水と肥料があっても糖がなくてはダメ。

 

■日射に応じた温度設定の変更

・高温は同化産物の転流とその後の過程に強く影響する。

・積算日射量(MJ)を測定して短時間の温度管理を変更する。

・具体的には、晴天日は積算日射量が一定量を越えたら午後の温度を高くする。曇雨天日は積算日射量が一定量に満たなければ前夜半の温度を下げる。

・これら制御は手動でもできるが、コンピュータ制御(NEXT80もしくはマキシマイザー)を導入すれば簡易に実行できる。

 

■温度と樹形

・同じ光条件で温度管理を変えると細胞の構造が変わり樹姿が変わる。

・例えば、高温では新しい細胞増殖が早い→葉と花の展開速度増加→糖が少ない→小さい細胞になり葉と花が小さくなる。低温ではその逆が起きる。このことは成長と発育の違いを理解するとわかりやすい。

・成長:乾物重や葉面積の増大のこと。光合成の結果であり光、水、CO2が影響する。温度の影響はわずか。

・発育:新しい葉や花の器官が発生すること。温度が大きく影響する。

・成長と発育は同時に進行するが両者に相関はない。例えば、2つの植物体の葉数が同じでも(温度管理が一緒)重さや葉面積は異なることがある(光合成が違う)。

・これを活用すると温度制御によって発育速度を制御し、植物の形を制御することができる。

・葉面積が十分ではない生育初期の成長は温度の影響を受ける。

 

■平均気温の管理で植物のバランスを調整できる

・日射量に対して平均気温が高い場合は呼吸速度が増大して生殖成長となる。

・日射量に対して平均気温が低い場合は発育と他の過程の速度を低下させ栄養成長となる。

・低日射時の積極的なCO2施用は平均気温を高めることができ品質を維持した収量増加が可能。

・生育状況をもとに温度を決定することで樹姿を制御できる。そのためには生育調査が必要。

・生育調査のデータはプログレディを使用すると環境データとの照らし合わせることが容易になる。

・植物にとっての最適な温度は植物をよく観察することでわかる。

 

 湿度について

・施設園芸では温度制御(特に暖房)は容易になるが、湿度が高くなりやすく制御が困難。

・除湿にはエネルギーが必要。オランダのトマト農家は投入するエネルギーの20%を除湿に利用している。

・高湿度の原因は地面からの蒸発と植物からの不必要な蒸散。

・除湿には様々な方法があるが、外被材の内側に結露させる方法が合理的。

・その場合は透湿性のカーテンが必須。透湿性のカーテンはLSスクリーンのみ。

・透湿性のカーテンを使用すれば、カーテンを閉めたまま外被材に結露させることができる。

・POフィルムや吸湿性のカーテンでは、カーテンを少し開けて外被材に結露させる必要がある。

・外被材への結露にはハウス内外の気温差がおよそ10℃必要。

・外気温が高い時はカーテンは閉めない。かつ天窓も全閉にせず常に2~3%程度開けて除湿する。

・天窓閉+カーテン閉+暖房が動作していない環境が2時間続いたら、植物が結露して灰色かび病などの病気が発生する可能性が非常に高い。

・病気の対策は湿度を高くしないこと。農薬散布は発生してしまった時の治療法。

 

 生産者同士の勉強会

・生産者同士の勉強会をすべき。目的は情報の共有化とモチベーションの向上。

・これから環境制御を始めるにあたって上手くいかない人にはノウハウコレクターが多い。

・そのような方は生産者同士の勉強会(コミュニティ)に参加すべき。コミュニティとは「同じ目的を持った人が、情報を包み隠さず共有する集団」。勉強会がない場合は作る。

・勉強会の主役は生産者。決して公的機関、JA、企業が主役になってはいけない。

・勉強会に参加したら最初に行うのはメンター探し。メンターとは「信頼のおける相談相手」、自分の2~3年後の理想像をすでに実現している人。

・自分より少し進んでいる人や成功している人を見つけて真似するのが近道。コピペする。そして素直に話を聞くこと。

・勉強会とはハウス巡回のことなのでハウスで行う。会議室ではない。

・議論は必ず全て数字に置き換えて話をする。

・勉強会は意見交換と情報交換の場。隠す情報に価値はない。情報は隠すよりも積極的に発信することで集まってくる。質の高い情報にはさらに質の高い情報が集まってくる。

 

 おわりに

講演のはじめに斉藤から参加者の方に”作物にとって理想的な温度って何℃ですか?”と意地悪な質問がありました。もちろん皆様からは決定づけられるような解答は得られませんでした。しかし、講演後に同じ質問をすると数名の生産者からまさにその通りと呼べる解答が返ってきたことが非常に印象に残っています。温度管理の考え方のまさに「考え方」を理解していただけたのだと思いました。考え方を理解すればおのずと何℃にすべきか答えが導き出せると考えています。これからも私たちは、皆様が自ら考え答えを導き出すためのお手伝いをさせていただきたいと思っています。よろしくお願い致します。

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