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2022.05.12

リサーチパーク鶴だより-第5便-

  • 鶴だより:プロファインダークラウド
  • :鶴だより

リサーチパーク鶴だより

第5便

成分分析-

【プロファインダークラウド「成分分析」って…?】

 皆さん、こんにちは。長梅雨が明けた途端の酷暑、栽培管理が難しい気候が続いています。熱中症にも引き続き、ご注意ください!

 さて、今回はリサーチパーク鶴だより第3,4便に引き続き、プロファインダークラウドのコンテンツの一つである「成分分析」についてお話いたします。

 「成分分析」とは、養液栽培の培養液や植物の汁液の成分を分析・数値化するもので、簡単に言うと植物の健康診断のことです。人は血液や尿の検査からいろいろな数値を得て、食事を中心とした生活習慣を正すことができます。反面、植物は自分で正すことができないので食事にあたる肥料の量や濃度を人が変えてあげなくてはなりません。そのための数値をこの成分分析では示すことができます。

 養液栽培では、必要な肥料成分を栽培する植物に合わせて作製した培養液を与えます。

 EC(電気伝導率)値やpHの測定をしている方は多くいらっしゃると思います。しかし、その培養液は植物に合わせた処方で本当に作られているのか…?吸収されなかった肥料成分が培地内に蓄積し、植物に影響を及ぼすほどになっていないか…?など、EC値だけでは分からない各肥料成分の濃度や比率を、「成分分析」が見える化します!

 「成分分析」サービスでは、主に以下のサンプルの分析をいたします。

  1. 原水  : 作物に供給する水で、水道水、井戸水、用水 等
  2. 給液  : 原水に肥料を混ぜ、供給する液(給液タンク、ドリッパーより採取)
  3. 培地内 : ロックウール等の培地から採取した液
  4. 排液  : 作物に吸収された後、余剰水として排出される液(排液タンクから採取)
  5. 汁液  : 作物の葉を絞って出てくる液

【原水】

 養液栽培では、原水の水質はとても重要です!原水中にはさまざまな成分が含まれており、その成分の含量によっては、十分な量の肥料を溶かしていても、もともと原水に入っていた成分が植物の吸収を妨げてしまい、欠乏症が出ることもあります。また、すでに肥料成分が存在しているのに、追加で肥料を入れてしまって過剰症が出る場合もあります。なかでも、微量要素(モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、塩素)は低濃度であっても過剰障害が発生するため、許容範囲以上の濃度で含有している場合、原水として使えないことが多くあります。養液栽培をご検討の際には必ず原水を分析してください。また井戸水等は水質が変わることがあるため1年に1度、分析することをおすすめします。

 もう一つ大切な要素として、重炭酸イオン(HCO)というものがあります。

 この重炭酸イオンの濃度は、高ければ高いほどpHが下がりにくくなり、多量のpH調整剤を投入しなければなりません。結果、pH調整剤として添加される成分がEC値を上げ、他の成分とのバランスが崩れてしまうこともあります。そのため重炭酸イオン濃度を測定し、加えるpH調整剤の濃度も加味して組成を組むことをおすすめします。

【給液/培地内/排液】

 給液の成分分析は肥料の原液を更新した際に、設定した通りの組成になっているかを確認する必要があります。ですから、そのタイミングで培地内や排液の成分分析も一緒に行うことをおすすめします。培地内や排液と一緒に分析をすることで、植物の成分吸収のバランスがどのようになっているか判断することができます。

 培地内は植物の根に近い液を採取するため、植物の状況を正確に知ることができます。しかし、採取する時間帯には注意が必要です。なるべく培地内が培養液で飽和した時間帯に採取してください(その日最初の潅水直後に採取をすると、夜中に植物が水を吸収、また蒸発している分、培地内の成分濃度が濃縮されており、サンプルとして好ましくありません)。また、排液を培地内から採取できない場合は、排液タンクから採取します。

 これらの培養液中の成分濃度を知ることは、植物に必要な肥料濃度を知ることにつながり、肥料の無駄使いを減らすことができます。また、肥料成分の過剰/欠乏による生育不良を早期に発見することもできます。

【汁液】

 汁液(葉)の分析はプロファインダークラウドのユーザー様のみが利用できる項目です。過剰/欠乏症が発生した場合、汁液分析をすることで、より原因成分追及の判断材料となります。というのも、過剰/欠乏症に関しては、培養液中の原因成分以外の成分の過剰や環境などの影響で発生する可能性もあるためです。

 一例ではありますが、かつてリサーチパーク鶴で栽培しているキュウリの葉に欠乏の症状が発症したことがあります。症状は、葉に白斑が現れ、次第に葉脈間の色抜けが起こるというものです。正常葉と異常葉の汁液を測定してみると…「リン(P)」が過剰に含まれていることが分かりました。ここのキュウリハウスでは、培養液中のリン濃度が低く、pH調整剤としてリン酸を使用しておりました。しかし、そのリンが蓄積過剰となり「鉄(Fe)欠乏」が引き起こされていたのです。その後、pH調整剤をリン酸から硫酸へ変更することで欠乏症を改善することができました。

 このように培養液の分析だけでは判断できない場合にも、汁液分析を行うことで原因の特定ができることが多くあります。たとえ、培養液分析を行うことができない土耕栽培の方にも大いにご活用いただけるのが、汁液分析の魅力の一つです。 

※作物の汁液分析をご希望の方は、プロファインダークラウド成分分析コンテンツへのお申し込みが必要となります。キュウリの葉の成分分析をご希望の場合は、誠和ホームページよりご相談ください(https://www.seiwa-ltd.jp/contact/)。

 以上より、過剰症や欠乏症には、培養液と汁液の2つのルートから分析を行うことができます。

 長期間栽培をすると、低温期と高温期を経験するため、環境の変化や生育のバランスに応じた肥料管理が必要となります。そのため理想は継続的な分析となりますが、まずは原水1本から、分析してみませんか?

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